2014 Fiscal Year Research-status Report
南部アフリカ・アンゴラ共和国における言語政策の動向
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26370727
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺尾 智史 神戸大学, 医学研究科, 講師 (30457030)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アンゴラ / 言語政策 / 言語計画 / 教育言語 / 国民和解 / ネーション・ビルディング / ポルトガル語 / バンツー系諸言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究上、非常に順調に推移し、当初の研究課題への見通しが大いに高まった。 平成26年度の研究は、8月に行ったアンゴラ等でのフィールドワーク、資料収集を軸に推移した。アンゴラでのフィールドワークは、首都ルアンダ、ルアンダ市東郊のベンゴ地方、アンゴラ南西部ルバンゴ市で実施した。ルアンダでは街頭での聞取調査の他、政府機関である教育省国民言語教育局(国民言語とは、国内で話されているキンブンドゥ語、ウンブンドゥ語、キコンゴ語等、バンツー系の母語話者人口が多く、社会的に重要だと考えられている言語)や、国営ラジオ放送局の多言語放送センター、国立アゴスティーニョ・ネト大学文学部言語学を訪問し、幹部/主任教授等と面談した。ルバンゴ市では、聞取調査の他、教育省地方事務所で地域のことばであるニャネカ語、およびキンブンドゥ語(アンゴラ内戦における市街包囲戦の結果、アンゴラ中部のウアンボ市からの避難民が話す言語)の教育への導入についての取り組みを現地の教員にヒアリングすることができた。 また、アンゴラ訪問の経由地リスボンではアンゴラ植民地期教育政策をはじめとする統治政策資料収集、サントメ市やマプート市では、ポルトガル語公用語国間で言語使用状況、教育言語構成が大きく異なることをヒアリング等で明らかにした。 高い成果が得られた現地調査であるが、一方で、研究計画の段階から予想されていた円滑な調査を阻害する要因が、予想以上に厳しいこともまた、現地を実際に訪問して明らかになった。前回滞在では自己負担額が前年度科研費助成額の実に75%に及んだ。これは主に宿泊費の科研費による支弁上限が定められていることによる。最低限の衛生・安全を確保することができるホテルで一泊食事なしで一泊5万円、比較的低廉とされる定食等を食べても一食4000円以上になり、日本の5倍程度の物価になっている現状は研究遂行上看過できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・平成26年度のアンゴラでのフィールドワークは研究上、非常に順調に推移し、当初の研究課題への見通しが大いに高まった(ただし、「今後の研究の推進方策 等」などに記した研究者個人に過大な経済的負担がかかっていることは重大である) ・アンゴラの言語政策、言語計画、言語教育、国民和解、ネーションビルディングに関する書籍、資料等の収集が非常に順調に推移している。 ・アンゴラの大学等教育機関、政府機関等、民間企業の積極的協力が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、夏季に予定しているアンゴラおよび周辺地域における現地調査、およびポルトガル等での一次資料探索を中心文献調査を軸に、平成26年度の成果を土台としてさらに充実させる。アンゴラにおける言語政策、特に、ポルトガル語およびバンツー系諸語の教育課程における言語計画について、前年度との進捗状況に関する比較検討を行うことが最も重要な課題であり、そのために、前回のアンゴラ調査で得た人的資源を十全に活用する。 今年度克服すべき課題は、何よりも、「研究実績の概要」に記したアンゴラの驚異的な物価高にどのように対応するかである。個人の負担可能範囲を大幅に超えており、調査の充実と滞在日数の削減とをどのように調整するかが今後の研究継続の大きなポイントとなることは否めない。
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Causes of Carryover |
アンゴラでのフィールドワークにおいて、科研費助成を適用可能である費目について、現地商店等が領収証を発行できるケースが少なく、これらについて自己負担となってしまったため申請額が低減したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に予定しているアンゴラでのフィールドワークにおける旅費および本研究にかかわる資料(書籍等)購入費として使用する。
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Research Products
(4 results)