2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Fairs and Merchant Groups in Villages in Early Modern Japan
Project/Area Number |
26370789
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多和田 雅保 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (10528392)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本近世史 / 地方史 / 流通史 / 在方市 / 商人 / 信濃国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の重要な成果は、昨年度までの重点的な検討対象であった小布施村の定期市とは別に、小布施村に近接する中野村(幕領中野代官所の陣屋元村)における定期市の形態とそれをとりまく商人集団の動向について検討を加えることができたことである。 中野村の定期市自体の様相を詳細に明らかにする歴史資料の残存量は、必ずしも多いとはいえない。しかし、昨年度までに小布施村の定期市の構造とそこに出入りする商人集団の動向を可能な限り解明できたことによって、中野村の定期市について残された史料の検討を本格的に進めることが可能となった。かかる前提に基づき、本年度は中野村をとりまく商人集団の動向を記した文久3年(1863)「中野組商人名前帳」の解読を進め、①彼らが実質上町場化を遂げている中野村の内部と周辺の40以上の農村にわたって1400人以上の集団を形成していたこと、②その集団が中野の有力商人を中心に彼らが複雑な階梯構造を持っていたこと、③実際の業態は古着屋、荒物屋、菓子屋などさまざまな品目を取り扱う商業であったことを明らかにした。あわせて④彼らの存在意義は中野村において定期市が開催されていることと密接な関連を持つこと、⑤町方の市場と周辺数十か村の商人集団という組み合わせは小布施、善光寺、須坂、飯山など信濃国北部に散在する小都市ごとにみられたと考えられること、以上について明らかにした。 そのうえで、近世後期の歴史資料に頻出する「市場衰微」という言葉が、従来言われたように定期市の常設店舗化を意味するのではなく、定期市が常設店舗化してもそこは「市場」と呼ばれること、「市場」外のエリアで市場を介在しない売買が行われることを「衰微」と称することについても明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)