2016 Fiscal Year Research-status Report
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26370802
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
真辺 将之 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80546721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文明運動 / 大隈重信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大隈重信の全生涯についてもう一度洗いなおして分析し、そのなかでの「文明運動」の有する意味を確認し、そのうえで、文明運動の概要、ならびにそれが果たした効果についての検討を行った。その成果は、『大隈重信―民意と統治の相克』という単著として刊行することができた。特に、同仁会や日印協会、大日本平和協会および帝国軍人講演会、南極探検講演会、大日本文明協会、国書刊行会、文芸協会等の諸活動の基礎情報を検討し、また同時期に行われた社会的弱者の救済活動や「人生一二五歳説」の提唱などといった活動と併せて「文明運動」遂行期の大隈とその活動の意味を論じることができた。特に諸活動の相互の関連性や、そこにみられる「東西文明の調和」の理念の形成、および、そうした理念と実際の政治家としての大隈の行動との関係、特に対東アジア政策およびその背後にある東アジア認識との関連にも注意を払って分析を進めた。また晩年期における大隈の思想の変化、特に「教化的国家論」における平和論の徹底を明らかにしたことは大きな意義を有すると自負する。今後は個別の団体についての分析をさらに進めるとともに、他の思想家、特に東西思想の融合を目指した井上哲次郎をはじめとする諸人物との比較を行うことによって、大隈の「東西文明の調和」論の意義についてより明確に明らかにしていきたいと考えており、そのための材料も収集することができた。また本研究においても重要な史料となる『大隈重信関係文書』の性格と使用上の注意についても検討し、その成果を「『大隈重信関係文書』活用のために―利用者の立場から―」を『早稲田大学史記要』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
成果を、495頁にわたる大冊の書籍として発表することができた。また史料の収集も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は個別の団体についての分析をさらに進めるとともに、他の思想家、特に東西思想の融合を目指した井上哲次郎をはじめとする諸人物との比較を行うことによって、大隈の「東西文明の調和」論の意義についてより明確に明らかにしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
雑誌『新日本』第四期を購入予定であったが、費用が足りなかったために、繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
『新日本』第四期分を購入する予定である。
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