2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370821
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三田 昌彦 名古屋大学, 文学研究科, 助教 (30262827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 城郭 / インド / 中世 / 近世 / ラージプート / 都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の通り、主に北東ラージャスターンを中心に、城砦データを収集・整理し、あわせて実地調査を行った。 ・8-18世紀建造と考えられる北東ラージャスターンの城砦・城郭都市を、歴史研究文献および考古学調査報告書などから探り出し、インターネットの衛星画像情報からその立地(標高および比高)・規模・城壁配置を確認し、新たに20件ほどデータベースに加えた。 ・3月に北東ラージャスターンを訪れ、新たに加えられたデータの城砦を中心に、城門・城壁構造、濠の配置、宮殿・寺院・水源の配置、市街区の位置と城壁の有無などを調査した。その結果、16-17世紀に山麓部に形成された城郭都市は、これまで調査してきたBundi, Amber, Bhangarなどとよく似ており、山上に詰めの城砦、山腹ないし山麓に堅固な宮殿、山麓から平地部に城壁で囲まれた市街区という構成をとることがわかってきた。これは城砦・都市構造を論ずる古典文献には出てこない構成で、新しい都市パターンとして注目すべき点である。 ・7月に東京外大で「パンチャクラとマハージャナ――中世初期ラージャスターン・グジャラートの都市行政と集会組織」を報告し、刻文史料から12-13世紀の王朝の地方支配と都市自治組織との関係を明らかにした。都市自治組織と城砦との関係については未解明だが、城郭都市が一般化する以前の都市のあり方として、今後考察していく足がかりになるものである。 ・一般向けのものではあるが、「ラージャスターンの城砦・城郭都市――中世から続くインドの町」を書いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の実地調査はまずまず成功であり、城砦・城郭都市データも今回新たに20件のデータを追加するなど、おおむね順調に進行している。ただし、城砦や都市城壁の建造年代については、現段階ではっきりしない城砦が少なくなく、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
・実地調査については計画通りラージャスターンを中心に進めていく。 ・城砦データについてはラージャスターンだけでなく、今後はグジャラートやマディヤプラデーシュにも対象を拡大していく。 ・今後最も重要なことは、城砦データの量ではなく、城砦建造の年代を確定していくことである。そのために今後はまず、年代確定の材料となる史料データを刻文史料および先行研究から可能な限りピックアップしておく必要がある。
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Causes of Carryover |
当該年度購入予定であった書籍の出版が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定であった書籍を次年度に購入する予定である。
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