2017 Fiscal Year Research-status Report
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26370821
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三田 昌彦 名古屋大学, 人文学研究科, 助教 (30262827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 城郭 / インド / 中世 / 近世 / 都市 / ラージプート / ラージャスターン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はラージャスターン東部の城砦を中心に実地調査を行った。その結果は以下の通りである。 Timangarh(11世紀末創建)、Khandar(12世紀末創建)、Mandrayal(創建時不明)の三城砦はいずれも大規模山上城砦のカテゴリに属する山城であり、うち前二者はJalor、Ranthambhor、Cittorgarhなどと同様、典型的な中世初期の城砦形態である。これらのうち創建時不明(おそらく14世紀以降)のMandrayalの城砦構造は通常の大規模山上城砦とはかなり異なっており、城砦内部の最上部(中心部)に小さな、しかし堅固な城砦をさらに設置している。この城砦の年代確定、およびこうしたタイプの山上城砦の位置づけは今後の課題である。 平地城郭都市のKarauli(14世紀半ば創建)は、城郭都市の東寄りに宮殿城砦が建設されており、14世紀建造の最奥部から15世紀・17世紀と増築が繰り返されていった様子が、建物自体および壁画から確認できる。また、町を取り囲む城壁および6つの城門もひとつひとつ確認し撮影した。城門・城壁はその後も修復を繰り返したと見られるが、崩れた一部の城壁の内部状態や城壁下部の古い基礎の様子から、その概ね円形の城郭の形態と城門の位置は17世紀創建時の状態を残していると考えられる。 なお、1月に京都大学で「関係性の中の国家:インド中世の非領域的国家システム」と題する報告において、8~17世紀のラージャスターンの国家システムの変遷を領域国家の形成過程として説明する試みを行ったが、それは本研究の城砦構造の変遷と深く関わるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の実地調査でも、これまでほとんど調査されていない城砦について多くの新知見を得ることができ、概ね成功であったと言いうる。問題はそれぞれの城砦の創建および改築の年代であり、これについては現在もなお不明な点を多く残している。
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Strategy for Future Research Activity |
・これまで通り、ラージャスターンを中心に城砦の実地調査を進めていく。 ・城砦データの新規データを増やしていく。 ・城砦年代の確定については、これまでの都市史の研究を網羅的に収集・整理するとともに、城砦・城郭都市をめぐる史料(刻文・文献)の精査を進める中で、創建時から現在までの各城砦の増改築の歴史を整理する。 ・最終年度なので、ラージャスターン中近世の城郭史の大まかな流れを整理する。
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Causes of Carryover |
ラージャスターンでの実地調査を次年度に2回行う予定を立てているため。2018年9月および2019年3月を予定している。
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