2015 Fiscal Year Research-status Report
20世紀ニューヨークにおける黒人コミュニティの質的及び空間的変動に関する歴史研究
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26370847
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村田 勝幸 北海道大学, 文学研究科, 教授 (70322774)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 南北アメリカ / 黒人史 / 都市史 / ニューヨーク / 西インド諸島 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、中央ブルックリン(Central Brooklyn)の黒人コミュニティと都市史の関係に関して、先行研究の精査と現地資料調査の両面から検討を行った。社会学や人類学などの先行研究において、ニューヨークに移住してきた西インド諸島系移民の多くが1960年代後半以降、ブルックリン、それも特に中央ブルックリンに集住しているとの指摘があり、その点を文献研究というアプローチで集中的に確認することが本年度の第一の作業であった。その検討作業を踏まえて実施した現地調査においては、ブルックリンに住む西インド諸島系移民の状況を映し出した一次資料を歴史学的に分析するという作業を行った。とりわけ、ブルックリン歴史協会で収集した、中央ブルックリンで発行されていたコミュニティのニューズレターや、西インド諸島系を対象に1990年代初頭に行われた聞き取り調査のデータは、先行研究においてあまり触れられていなかった、1960年代や70年代の中央ブルックリンの歴史・社会状況や西インド諸島系の側からみたニューヨーク社会や同地の黒人コミュニティの在り方を浮き彫りにしており、当該テーマの分析をするうえで有用であった。なおこの成果の一部は活字化がすでに完了しており、『歴史学研究』(歴史学研究会)の2016年9月号に「せめぎ合いの場としての「不可視性」ー1960年代後半以降のブルックリン(ニューヨーク)における西インド諸島系の位置」というタイトルの論文として掲載されることが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中央ブルックリンの黒人コミュニティと都市史の関係という当該年度のテーマに関する論文の公刊の目処も立っており、当初の研究目標は達成できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
中央ブルックリンの黒人コミュニティに関する論文を完成させるための作業(推敲など)と並行して、「ハーレムと都市史の関係に関する考察」という具体的なテーマに関する研究(文献研究と現地調査の両方)という次のステージに進みたい。
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Causes of Carryover |
残額10,586円については、2016年3月7日に既に物品購入で使用済みしているが、データ上は反映されていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述の通り、実際には既に使用している。
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