2017 Fiscal Year Annual Research Report
Occupations and changing diplomatic right in the Holy Roman Empire of 17th Century
Project/Area Number |
26370856
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
皆川 卓 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90456492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マントヴァ公国 / 皇帝軍 / 住民宣誓センサス / ミュンスター司教領 / クリストフ・ベルンハルト・フォン・ガーレン / 軍税徴収協定 / 東フリースラント |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度はH28年度の計画で未着手であった調査二点を行い、これまでの調査と比較して、17世紀の神聖ローマ構成領邦の社団が、占領軍といかなる関係を持ち、構成領邦の外交にどのような影響を与えたかを、総合的な観点から検討した。第一は、夏季にマントヴァ国立文書館で行った、スペイン継承戦争下での皇帝軍と、被占領国マントヴァの諸官庁及びコムーネ(自治体)の史料調査である。これらの史料は、公国政府の官僚が皇帝の命を受けて行った課税調査、公国の住民がコムーネ毎に列挙され、皇帝に忠誠を誓った誓約書、彼らがコムーネを通じて租税を支払ったことを示す帳簿と補給規定などからなる。これらを検討した結果、公国を占領した皇帝軍が、公国政府の官僚を掌握すると共に、法務官にコムーネのセンサスを行わせ、戸主毎に皇帝への忠誠を誓わせていたことが判明した。これは占領軍住民と直接主従関係を結ぶことで、後者が独自に交渉を持つ可能性を失ったことを意味する。次に冬期にミュンスター州立文書館で、三十年戦争~仏蘭戦争におけるオランダ軍のミュンスター司教領占領、およびミュンスター軍の周辺領邦占領関連文書の調査を行った。ここでは被占領国での忠誠宣誓は存在せず、軍税はゲマインデ(自治体)との協定という形を取っていた。またミュンスター軍に占領された東フリースラント公領の場合、公領の諸身分団体が領邦議会の形で当事者となり、前者に損害賠償の訴えを起こしている。これが意味するのは、占領に際しては住民の直接掌握のための措置が存在せず、従って社団が占領軍と交渉を展開するのが一般的であった、ということである。これらを過年度のホーエンローエ伯領やカスティリオーネ侯領の調査と比較した結果、占領は占領軍と被占領国社団と交渉の機会を与える一方、占領国が被占領国の住民と忠誠関係を結ぶ場合には、被占領国の社団の外交権は、政府共々消滅することが判明した。
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Research Products
(2 results)