2015 Fiscal Year Research-status Report
二重帝国期のブルノにおける中等教育制度と言語・民族問題
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26370887
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
京極 俊明 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (20535942)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ギムナジウム / オーストリア=ハンガリー / チェコ / 民族問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に確認した、ブルノ市文書館の史料状況に基づき、チェコ系ギムナジウムの第一期生(1867年度)を軸として、史料調査を行った。まずチェコ系ギムナジウムについて、第一期生の出身社会層・地域などを学籍簿から抽出した。また8年目に卒業できた学生については、卒業後進路の予定も記入されており、ギムナジウムの果たした社会的機能を理解するうえで、大変有益であった。チェコ系ギムナジウム卒業者の半分近くが、聖職者を希望していたのは予想外であり、当時のモラヴィアが「保守的」と評価されてきたのも納得できる結果であった。 他方で、1867年度のドイツ系ギムナジウム1年生の出身社会層・地域分析を行った。ドイツ系ギムナジウムとチェコ系ギムナジウムという、二つの選択肢が初めて登場した年に、学生がどちらを選択したかを把握しておくことは、当時の民族問題の状況を理解する上で、大変重要である。 比較した結果、ドイツ系のギムナジウムには経済市民層や官僚の子弟が多く、チェコ系ギムナジウムには手工業者や農民の子弟が多かった。またユダヤ系の学生は、ドイツ系ギムナジウムには見られるが、チェコ系ギムナジウムにはほぼいないことが確認された。 今後はさらに経年変化を追うとともに、ギムナジウムの教授会資料なども確認して、より深い分析を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
体調不良のため、全般的に作業が遅れている。また指導教員(クラス担任)の引継ぎなどで、当初計画で予定していた春休みの出張を行う時間が取れなかった。 ただし夏の出張により、ギムナジウムの研究に関しては、おおむね予定通り進んでいる。 やや遅れているものの、確実に成果は挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずH27年度のチェコ出張で、チェコ系ギムナジウム、ドイツ系ギムナジウムの学生のデータを抽出できたので、豊田工業高等専門学校研究紀要に概略をまとめて、投稿する。 夏の出張で、学生の経年変化を引き続き調査する。また教授会資料などを新たに分析することにより、視野を広げることを予定している。 当初予定にはなかったが、H27年度に春出張ができなかったため、何とか本年度の春休みに代わりに出張を行いたい。 これらの成果をまとめて、平成28年度には、東欧氏研究(査読つき)へ、論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度は指導教員(担任)の引継ぎ業務があったため、予定していた春休みのチェコ出張を行うことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度はチェコ出張は夏のみの予定であったが、前年度の代わりに、本年度の春にチェコ出張を行うことで、予算を使用する予定である。
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