2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370892
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 昭典 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 助教 (20710354)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 使用痕 / 炭素-窒素同位体比分析 / 資料収集 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、注口付浅鉢の資料収集と、資料調査および分析試料の採取を行った。 資料集成では、①東北地方と②北関東・中部地方を対象として集成作業を行った。その結果、これまでの集成資料に加えて、東北地方は30遺跡・294例、北関東地方・中部地方では25遺跡・約90例を複写およびデジタル化することができた。これらの資料から、東北地方の注口付浅鉢については、これまでの自身の研究を追認する結果となった。一方、関東地方や中部地方では、称名寺Ⅱ式期に注口付浅鉢が普及すると考えていたが、やや古い注口付浅鉢が散見されたことから、関東地方への拡散過程と時期については再検討が必要であると認識を改めた。 資料調査は、今年度は①東北北部と②東北南部を対象に2度実施した。東北北部の資料調査では、岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター、秋田県埋蔵文化財センター、青森県埋蔵文化財調査センター所蔵資料を対象とした。主に、中期末葉の注口付浅鉢と、出現期である大木8b式期の注口付浅鉢・浅鉢の観察・記録、写真撮影を行った。大木8b式期の浅鉢では、スス・コゲ等の煮沸痕を確認することができなかったが、東北北部においても古い注口付浅鉢が分布することは確認できた。これらが大木9式期の注口付浅鉢の成立へとどのようにつながるのか、今後の検討が必要となる。 東北南部での資料調査は、仙台市教育委員会、福島市振興公社、福島県文化センター白河館所蔵資料を対象とした。また分析試料サンプリングのため國木田大氏を同行させた。調査では、形態・文様、使用痕等の観察・記録に加えて、分析試料のサンプリングを行った。使用痕については、良好な浅鉢4点のスス・コゲ等の範囲を4面記録法で記録した。 分析試料は、計19個体分のサンプルを得ることができた。今年度は、時間の都合で採取したサンプルの理化学分析を行うことができなかったが、次年度前半に分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料調査においては、当初の予定通り、東北地方の広範囲にわたって、青森県・秋田県・岩手県・宮城県・福島県の資料を観察することができた。さらに理化学分析用のサンプルも19個体分を採取することができ、これまでの資料と合わせると、45個体分の分析試料を蓄積することができた。使用痕についても、5点のスス・コゲ等の使用痕範囲の4面記録図を作成することができた。 一方、資料集成では、当初の計画していた地域の資料集成を行うことができた。まだ北関東地方や中部地方は不足しているので、今年度も南関東地方に加えて、北関東地方や中部地方の事例収集作業を継続する予定である。 また土器付着物の理化学分析においては、時間の都合上今年度中に実施することはできなかったが、すでに19点の試料をサンプリングしているので、分析作業を来年度前半に行う予定である。 以上のように、分析作業でやや遅れが認められるが、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度での資料集成と資料調査、分析結果を踏まえて、東北地方における注口付浅鉢の出現過程と用途に関して、所見をまとめる予定である。2年目からは、対象地域を東北地方から北関東地方や中部地方へと移して、後期初頭に関東地方に受容された注口付浅鉢に着目していく予定である。資料調査により、形態的特色、使用痕の特色を観察し、良好なものは使用痕を4面記録図で記録する。使用痕に加えて、コゲ等の付着物がある場合、可能な範囲でサンプリングを行い、東北地方の付着物と比較する予定である。これによって、関東地方に広がった注口付浅鉢が同じ用途(もしくは背後にある行為)も伴って普及したのかを検証することが可能であると考える。また集成資料の分析から、北関東地方や中部地方で、どのような過程で注口浅鉢が普及していくのか、さらには衰退していくのかを明らかにする予定である。 まずは、東北地方における注口付浅鉢の成立過程と煮沸具化の意義について、研究成果を雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、2回目の資料調査を行った時期が遅かったため、その時に採取した試料について、年度内に理化学分析(炭素-窒素同位体比分析、C/N比分析)を実施することができなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度前半の早い段階で、試料の理化学分析(炭素-窒素同位体比分析、C/N比分析)を、実施してもらう予定である。
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