2015 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮半島初期鉄器時代~三国時代の鉄・鉄器生産遺跡出土の倭系遺物に関する研究
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26370912
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
井上 主税 奈良県立橿原考古学研究所, 企画部企画課, 主任研究員 (80470285)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 倭系遺物 / 日朝関係 / 鉄素材 |
Outline of Annual Research Achievements |
a. 朝鮮半島の初期鉄器時代から三国時代にかけての鉄・鉄器生産遺跡から出土した倭系遺物に関して、世宗文化財研究院や国立伽耶文化財研究所などの韓国関係諸機関の協力を得て、データベース化作業をおこなった。あわせて、弥生系土器や土師器系土器などの倭系遺物と共伴する鍛冶関連遺物(鉄滓・炉壁・鍛造はく片・砥石など)のデータベース化作業もおこなった。 b. 上記のデータベース化作業を進めるとともに、最終年度に実施予定である資料調査の対象となる倭系遺物の選定をおこなった。調査は資料の熟覧および写真撮影、実測作業等をおこない、既出資料についても一部の資料を再調査する予定である。対象遺物の一部については、現地で管理状況等の確認作業をすでにおこなっている。 c. 4月に昌原大学校にて開催された、第24回嶺南考古学会定期学術発表大会に参加し、嶺南地方における初期鉄器時代~三国時代の鉄・鉄器生産遺跡出土の倭系遺物に関する情報収集に努め、韓国人研究者と意見交換をおこなった。さらに、あわせて鉄・鉄器生産遺跡の発掘成果についても情報を収集した。 d. 最終年度に、当時倭人たちがどのように鉄・鉄器生産業に関与していたのか、また日本列島に輸入されていた鉄素材が、朝鮮半島のどの地域から供給されたのかといった問題について考察するにあたり、朝鮮半島から流入したと考えられる弥生時代~古墳時代の日本列島出土の鉄素材についてのデータベース化作業も並行して進めている。この作業によって、両国の考古資料からの検討が可能になるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関連資料のデータベース化作業は研究補助員を雇用したことで、当初計画通りにおおむね進捗している一方、関連資料に関して、現地での資料調査が実施できていないため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
朝鮮半島南部の鉄・鉄器生産遺跡出土の倭系遺物に関するデータベース化を引き続き進め、現地での一部既存資料の確認調査と、最近の発掘調査によって得られた新出資料に対する資料調査を実施する。 最終的に、朝鮮半島の鉄・鉄器生産遺跡出土の倭系遺物からみた、鉄をめぐる倭人たちの動向に関する総合的な考察を行い、成果報告書を取りまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
旅費については、現地での資料調査が実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現地での資料調査の実施回数を増やす予定である。また、関連資料のデータベース化作業を研究補助員の雇用によって円滑に進めており、この人件費・謝金の使用額を増やすことで、当初計画通りに研究を進めることができると考える。
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