2014 Fiscal Year Research-status Report
ミクロネシアの都市形成と構造変動に関する地理学的研究
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26370927
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宮内 久光 琉球大学, 法文学部, 教授 (90284942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 博史 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20270994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミクロネシア / 南洋群島 / 都市形成 / 都市構造 / 移民 / 市街地復元地図 / 太平洋信託統治領アーカイブス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究全体の基礎作業として,日本統治時代(1914-1944)の市街地復元地図の作成およびミクロネシアの都市構造の解明をするための資料収集を行った。 日本統治時代の市街地復元地図の作成については,北マリアナ連邦公文書館などにおいて,1944年頃米軍が撮影した6市街地(チャランカノア,ソンソン,ヤップ,トラック・春島,ヤルート,ダバオ)の空中写真を収集した。空中写真は各市街地をさまざまな高度,気象条件の下で断片的に撮影しているために,条件の良い写真群を選択し,ペイント系ソフトで結合した。また,現在の衛星画像と重ね合わせができるように補正を加えて原図とした。この原図をベースにして,道路,鉄道,建物など用途別にドロー系ソフトでトレースして基本図を作成した。チャランカノア,ソンソン,春島,ダバオに関しては,当時発行された略地図に記載されている公共施設や工場などを基本図上で同定して,記入した。 ミクロネシアの都市構造の解明をするための資料収集は,北マリアナ連邦およびブリティッシュコロンビア大で行った。特に,北マリアナ連邦公文書館では,ドイツ統治時代(1899-1914)のガラパンやソンソンに関する図書や資料が収集できた。このほか,日本統治時代から現代までのサイパンに関する地形図,土地利用図,都市計画図,各種行政資料などを収集することが出来た。同館やハワイ大学図書館に保管されているTTPA(太平洋信託統治領アーカイブス)の2,000以上のマイクロフィルム群のうち,南洋群島時代に作成された日本側資料のリストアップを行った。その結果,南洋群島関係資料は214の書類に計39,135頁あることが確認でき,これら全ての書類をマイクロフィルムで収集した。この資料のほとんどは土地売買や賃貸借関係の公文書であり,日本統治時代の市街地の土地利用構造解明の基礎資料となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は研究全体の基礎作業として,日本統治時代(1914-1944)の市街地復元地図の作成およびミクロネシアの都市構造の解明をするための資料収集を行うことになっており,これらについて予定通り研究は進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,26年度に引き続き,研究全体の基礎作業として,日本統治時代の市街地復元地図の作成およびミクロネシアの都市構造の解明をするための資料収集を継続する。平成26年度に作成した基本図は空中写真が不鮮明な箇所が多々あるため,今後もより鮮明な空中写真を求め,可能な限り基本図自体を更新していく。また,南洋群島帰還者会の会員に聴き取りを行い,基本図上で建造物の名称を同定していき,復元地図を作成する。復元地図の作製後は,現地で確認作業を行い,修正を加えて地図の精度を高める。 日本統治以前にミクロネシアを統治していたスペインおよびドイツ時代には,様々な地図が作成され,市街地の景観写真が撮影されている。ミクロネシア都市の形成過程を明らかにするために,北マリアナ連邦公文書館やグアム大などでスペインおよびドイツ統治時代に作成された地図資料や写真資料を収集する。
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Causes of Carryover |
米国国立公文書館に研究対象市街地の空中写真を閲覧・複写する予定であったが,先に調査に行った北マリアナ連邦公文書館にも同様な写真がある程度整備されていることがわかった。そのため,今年度は市街地復元を迅速に取り組むため,北マリアナ連邦で入手した空中写真を下に原図を作成した。そのため,米国への資料収集旅行が1回少なくなり,次年度繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
北マリアナ連邦公文書館で入手した空中写真を下に作成した復元地図の原図は,一部不鮮明な箇所がみられる。米国国立公文書館にはそれを補える空中写真が保管されているため,次年度は米国国立公文書館に資料収集旅行を行い,繰り越し分を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)