2015 Fiscal Year Research-status Report
ネオ・サイエンスとしての天文人類学:人類学者が作るプラネタリウム・コンテンツ
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26370967
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
後藤 明 南山大学, 人文学部, 教授 (40205589)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人類学 / 天文学 / プラネタリウム / オセアニア / メソアメリカ / 古代遺跡 / 考古天文学 / 民族天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラネタリウムのコンテンツを開拓するための国内調査は夏至および冬至期に沖縄で行った。夏至には沖縄本島の玉城城の城門に夏至の太陽が昇り、冬至には浦添城から久高島の背後から太陽が登る事実を確認し写真撮影を行った。 また海外調査では2月にグアムでミクロネシアのカヌー復興グループから天体を使った航海術に関する情報を得たほか、3月には考古天文学の本場、メキシコにおいてテオティワカン、アステカおよびマヤの遺跡を巡って天体と古代遺跡との関係を探った。 これらの情報は最終年度のプラネタリウムイベントにおいて、画像の投影や関係する考古資料(レプリカ)の展示などとして活用する予定である。 講演活動としては6月に南城市の夏至祭りでの講演「古代遺跡と太陽」、また8月にはハワイ州ヒロ市のイミロア天文センタープラネタリウムでの講演「Stars in the Land of Rising Sun (Japanese Archipelago):An invitation to star lore in the Japanese sky」を行った。また8月ホノルルで開催された国際天文ユニットの文化天文学分科会では「Fallen Star Legends in Japanese Folk Belief 」を口頭発表した。さらにそれに続いてハワイ島のハワイ大学ヒロ校で行われたワークショップ「Hawaiian, Oceanic and Global Cultural Astronomy: Tangible and Intangible Heritage」に参加し、日本の星民俗に関する二つの発表を行った。 天文人類学関係の論文は日本語で3本、また英語で1本(査読中)を書くことが出来た。さらに11月には勤務校にて移動型プラネタリウムを借用し「星空人類学2015」を開催、研究成果を市民に還元する活動を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2015年度は計画通り、市民対象の人類学的プラネタリウム・プログラムを実施した。使用したデジタル式プラネタリウムに自らが撮影した遺跡の画像も使用し、考古学・民族学展示と融合させるなどを実現した。 この種の研究を行っているということで6月には沖縄南城市の夏至祭り、2016年1月には総合地球環境研究所の東京セミナー、2月には国立民族学博物館の共同研究会「宇宙人類学への文化人類学的接近」にて天文人類学の講演を依頼された。また国立天文台から天文学者(研究協力者の吉田二美氏を含む)と考古学者を招き、勤務校の人類学研究所では「天文学と人類学の融合」という公開講演会も実施した。 さらに8月にはハワイ州ハワイ島ヒロ市にある、イミロア天文センターにて日本の星民俗に関する1時間の講演を依頼されて実施するなど、海外でも天文人類学のプラネタリウムにおける実践活動ができたことは予想以上の成果であった。その内容については現在、英文論文を投稿中である(本助成金への謝辞記載あり)。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は最終年度になるが、さらに国内およびオセアニアを中心とした考古天文学あるいは民族天文学の調査を行い、コンテンツの充実に努めたい。まず5月にはグアムの太平洋芸術祭時に行われる「太平洋カヌーサミット」に議長役で参加し、各地の航海術と天文民俗の情報を収集し、また星空人類学で展示するための関連する民具やカヌー模型などの収集も行いたい。 そして11月に予定されている「星空人類学2016」においては3年間の集大成として日本、オセアニア、そして比較事例としてメソアメリカの古代遺跡の画像をプラネタリウムの天体提示と融合させる形で、斬新な天文人類学的プラネタリウム・プログラムを発表し、市民や学生、研究者に評価を仰ぐ予定である。
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Research Products
(5 results)