2015 Fiscal Year Research-status Report
現代イタリア社会におけるローカリティに関する文化人類学的研究
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26370973
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
宇田川 妙子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 准教授 (90211771)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ローカリティ / ローカル・コミュニティ / イタリア / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、本研究の2年目として、①現地調査の本格的な推進、②これまでの調査資料および理論的な考察に関する中間的な総括、の2点に焦点を当てた研究を行った。その成果は次のとおりである。 ①昨年度に引き続き、ローマ近郊の町にて約3週間にわたってローカリティにかんするフィールドワークを行った。今回は世代および性別の相違に焦点を当て、より若年世代にインタビューを重ねていき、ローカリティ意識の変化の具体的な内容、その変化を引き起こす要因・背景などを探った。また性別に関しては、婚姻による移住の多少という問題だけでなく、両者の生活スタイルの違いがそれぞれのローカリティ意識の差に大きく作用しているのではないかという推測も出てきたが、これについては今後、世代や職業などの他の変数によるクロスチェックが必要となる。これらは引き続き、次年度の調査課題とする。 ②当調査町における約30年前の調査資料をローカリティという視点からもう一度精緻に振り返ることによって、当時の人々のローカリティ意識を分析、再構成した。そして、その成果を本年度に発刊した著書『城壁内からみるイタリア』の5章としてまとめた。彼らのローカリティ意識は、これまでもカンパニリズモと呼ばれ、いわばイタリア文化の一つとして注目されてきた。しかしそれが、単なるローカル・アイデンティティではなく、彼らの生き方、人生の捉え方そのものと密接にかかわっていることを明らかにした。もちろん、その考察はいまだ推論の域を出ない部分も多く、変容についても考察が不十分である。しかしこの成果は、ローカリティのもつ意味(およびその研究視座)をさらに広げていく具体的な契機になる。ゆえに次年度以降、このイタリアでの議論をより一般的なローカリティ研究にもつなげた考察も積極的に行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最も重要な目的は、ローマ近郊の調査地でのフィールドワークを本格的に進めること(インタビューの対象を世代、性別、調査地以外の出身者などに多様化させ、そのライフヒストリーを聞き取ること)であり、その目的はおおむね達成している。 また、イタリアの他地域におけるローカリティにかんしても、本年度北イタリアで予備調査をおこない、次年度以降の準備も行った。一方、これまでの調査資料の整理や分析も着実に進んでいる。 総じて、イタリアのローカリティの多様性、変遷等にかんする総合的な情報は順調に蓄積し、その考察も着実に深まっており、その成果の一部も実際に書籍等で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
残り2年間のうち、3年目(2016年度)は翌年に成果をまとめることを踏まえ、そのための必要な現地調査を終えることを主眼とする。具体的には、①現在の調査地での調査をさらに進めること(その際、対象者の多様性をさらに考慮したインタビューを行い、調査地を離れて移住した人々へのインタビューもおこなう)、②調査地の周囲の町々での調査を進める(祭り等の町おこしなどについて集中的に調査する)、③イタリアの事例を発展させ、ローカリティの理論的な研究をさらに深化させること、を目的とする。 最後の4年目は、これまでの調査資料を整理し、必要であれば短期的な調査をおこない、成果を論文等の形でまとめる。
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Research Products
(2 results)