2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on a Japanese theory of constitutional litigation
Project/Area Number |
26380036
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
淺野 博宣 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40261945)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 憲法訴訟 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、芦部信喜らによって展開された憲法訴訟論について、アメリカからの影響が指摘されているが、それがどのような可能性の中からどのような選択を行ったかを明らかにしようとするものであり、また、現在においてどのように評価されるべきか検討しようとするものである。 本年度中に脱稿できた「合理的期間論の可能性」は、投票価値訴訟(いわゆる定数不均衡訴訟)において、裁判所がまずいわゆる違憲状態を認定し、そのうえで合理的期間を経過したかを検討し、経過している場合に違憲判断を行うという、最高裁が展開してきた判断手法について、その実質的内容の変化を確認し、その上で、その意義を明らかにしようとするものであるが、着想の出発点の一つは、昭和51年の最高裁判決が事情判決を下す以前に、芦部が投票価値訴訟の判決手法として提案していた判断方法である。当該論文では、芦部の提案の方が、最高裁の判断方法よりも、より実効的ではないかという評価を行ったが、投票価値訴訟における裁判所の判断に対する内閣・国会の対応が非常に遅いことを考えると、芦部の方法に合理的期間論を加えるならば、現在でもなお意義を有していると考えている。また、他の訴訟への応用可能性という意義もあるのではないかと考えている。 合理的期間論のような確認型の判断手法は、英米法系の諸国で現在多くみられるものであり、また、アメリカでも再び注目されており、それらの点の検討も行ったが、上記論文に反映させるには至らなかった。その部分の公表は今後の課題としたい。
|