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2014 Fiscal Year Research-status Report

墓地提供という公役務と信教の自由――公役務を通じた自由実現モデルの考察

Research Project

Project/Area Number 26380039
Research InstitutionOkayama University

Principal Investigator

田近 肇  岡山大学, 法務研究科, 教授 (20362949)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 片桐 直人  近畿大学, 法学部, 准教授 (40452312)
重本 達哉  近畿大学, 法学部, 准教授 (60584042)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords墓地埋葬法 / 信教の自由 / 葬送の自由 / 宗教的多元社会
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度は、研究の基礎作業を行うという観点から、墓地埋葬法制の比較法的検討を行った。
具体的には、平成26年7月5日及び6日に、岡山大学において、連携研究者の大石 眞 氏(京都大学教授)を招いて研究会を行い、「フランスにおける葬儀・墓地埋葬法制について ―― 地方自治体の公役務としての墓地の提供 ――」の演題で研究報告をしていただき、フランスにおける墓地埋葬法制について知見の提供を受けた。この研究報告は、今後、研究代表者及び研究分担者がわが国の墓地埋葬法制と他国のそれとを比較法的な観点から検討・考察するうえで、一つの研究モデルとなるものである。
平成26年9月4日には、京都大学において、鈴木 庸夫 氏(明治学院大学教授)を招いて研究会を行い、「東日本大震災における墓埋法の特例に関する行政法上の問題」の演題で研究報告をしていただき、東日本大震災における遺体の保存・搬送及び埋火葬体制の実情、埋火葬許可の特例措置について、行政法的な見地からの知見の提供を受けた。
また、平成26年11月7日には、龍谷大学において研究会を行い、海外現地調査の打合せを行った。
平成27年3月9日から3月16日には、フランス及びイタリアに赴き、現地調査を行った。すなわち、(1) リール・カトリック大学及びミラノ・カトリック大学の墓地埋葬法研究者から、フランス及びイタリアの墓地埋葬法制の概略及び研究代表者・研究分担者が抱いていた疑問点について聞き取り調査を行い、(2) パリ市庁緑地環境部墓地課の担当者から、パリ市における墓地行政の実情について聞き取り調査を行い、(3) パリ市営墓地及びミラノ市営墓地の現地調査を行った。この現地調査により、彼我の葬送慣習の違いに起因する疑問点を解消することができ、フランス及びイタリアの墓地埋葬法制の基本的な考え方を確認することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の研究計画では、この研究全体の前提となる基礎的な作業として、平成26年度中に、ドイツ、イタリアをはじめとする諸外国の墓地埋葬法制に関して、法令、裁判例、行政実務等を翻訳するなど、基礎的な資料の収集と分析を重点的に行い、例えば関連法令を翻訳して紹介する論稿を公表することを考えていた。
しかし、わが国と諸外国との間では、宗教事情の違いや葬送慣習の違いが大きく、基礎資料の分析・翻訳を進めていく中で、十分に理解することのできなかった点が少なくなく、また、そうした疑問点を解消するための海外現地調査も研究代表者・研究分担者のスケジュールの都合で年度末まで実施が遅れたため、平成26年度内に基礎資料の翻訳を研究成果として公表するところまでには至らなかった。
他方で、研究会を通じて、研究代表者・研究分担者・連携研究者の間で情報を交換・共有し、基礎的な資料の収集・分析を進めつつあり、また、海外現地調査を通じて、フランス・イタリアの墓地埋葬法制の実情を知ることができたことから、次年度以降の研究成果の公表に向けた下準備はできつつあるということができる。
以上が、現在までの達成度について、「(3) やや遅れている」とした理由である。

Strategy for Future Research Activity

「現在までの達成度」欄でも述べたとおり、諸外国(とりわけ、フランス、イタリア、ドイツ)の関連法令などの基礎的な資料の収集・分析・翻訳は、すでにかなりの程度まで進んでおり、今後、これを研究成果として公表する作業を加速することが必要である。
この作業と並行して、基礎的な資料の分析を踏まえつつも、それらの単なる翻訳を越えて、諸外国で墓地の提供が公役務と理解されていることが墓地埋葬法制においてどのような意味を有しているのか、また、この公役務の遂行において信教の自由ないし幸福追求権(さらに、国によっては政教分離)といった憲法上の自由・原則がどのように考慮されているのかを解明するための研究を進める。
また、現時点での研究が諸外国の法制の研究に偏っていることから、今後、宗教学研究者・法社会学研究者を含めた、わが国の墓地埋葬法の研究者を交えて研究会を開催し、比較法的な研究から得られた知見を日本法の分析に活かすことができるようにするための準備を進める。

Causes of Carryover

平成26年度に海外現地調査を計画していたところ、その実施が年度末になった結果、その全体執行額が把握しづらかったことに加え、ドイツの墓地埋葬法制に関しては、資料等の所在、各種の法令の確認・翻訳などはWEB情報を中心に行った反面で、購入すべき図書の選定に時間がかかり、結果、次年度にまとめて購入すべきと判断したことから、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

この次年度使用額については、すでに触れたとおり、平成27年度の使用額とあわせて図書の購入に当てることとしたい。

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Published: 2016-05-27  

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