2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380049
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡田 正則 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40203997)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公権力の行使 / 行政処分 / 行政訴訟 / 行政裁判制度 / 国家賠償制度 / 外国法の継受 / 司法制度改革 / ドイツ公法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014(平成26)年度は、行政救済制度の外国法継受の面について比較法制史の視角から検討を進めることとした。フランス・オーストリア・プロイセン(ドイツ)からの日本への継受全般について検討を行うこととしていたが、具体的な作業に着手できたのは、ドイツ法についてだけであった。その成果の一部は、ヨーロッパ近代法継受の比較法研究を行っているマックスプランク欧州法史研究所の研究プロジェクト(Workshop: Rezeption, Transfer, Translation)において、"Translation deutschen oeffentlichen Rechts nach Japan im 19. Jahrhundert"と題する報告として公表した。本研究に関連する成果の発信として、中国・山東大学において「日本における行政訴訟制度の形成史と改革の課題」(2014年4月27日)「日本における法曹養成制度・司法試験制度の改革――歴史的背景・成果・展望――」(2014年4月28日)という2つの講演を、また韓国・高麗大学でのシンポジウム"Comparison of Privacy Data Protections Laws in Northeast Asia"において「日本における個人情報保護制度の現状と課題」と題する報告を行った(2014年10月25日)。そして、行政救済制度の視点から司法制度と最高裁判例を検討した論文として、「グローバル新自由主義と最高裁判例の変容」民主主義科学者協会法律部会編『改憲を問う――民主主義法学からの視座』(日本評論社、2014年11月)82-87頁を公表した。これらにより、継受の時代状況と前提条件、日本における自国法化の過程とそこでの葛藤、東アジア法におけるドイツ法の位置づけなどの点を一定程度明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近代法の継受に関する基礎理論を行政救済制度の面から検証するという作業はかなり前進させることができた。しかし、行政裁判の対象・手続等に関する個別制度に即した検討ならびにドイツ以外の対象国に関する検討は、着手しただけにとどまった。その理由は、マックスプランク欧州法史研究所の研究プロジェクトに対応するために、基礎理論に重点を置かざるをえなかったこと、加えて、2015年2月にシュパイヤー行政大学で開催されたシンポジウム(Deutsch-Japanisches Symposium vom 26. bis 27. Feb. 2015 "Verwaltung in Netzwerken")における報告" Eine historisch-theoretische Analyse ueber soziale Netzwerke: Zum Verwaltungsrecht in der Zeit der Entstaatlichung"を準備するために、ドイツ法の継受と比較法史研究に労力を費やしたこと、である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、(1)行政裁判の対象・手続等に関する個別制度に即した検討、(2)ドイツ以外の対象国に関する検討は、2015年度に持ち越しの課題となった。したがって、2年度目の課題、すなわち「江戸時代に形成されていた日本の官僚システムと行政救済制度(行政事件の処理制度)が明治初期にどのように転型され、外国法と接合されたのかを分析する」という課題とあわせて作業を進めることとする。この2年度目の課題については、すでに上記マックスプランク欧州法史研究所での報告内容に含まれているので、個別制度に則した検討に重点を移すことによって、(1)の検討と同時に進めることは容易にできる。(2)の検討については、フランスの1872年5月27日法およびオーストリアの1875年行政裁判所法に関する明治期日本の認識と大日本帝国憲法・行政裁判法立法時の議論を追跡するという方法をとるによって、2015年度の課題と整合的に作業を進めることが可能だと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、4円であり、端数であるため使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
事務用品費などとして容易に使用できる。
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Research Products
(6 results)