2015 Fiscal Year Research-status Report
少年矯正法における「最善の利益」原則の研究――国際的動向を踏まえて
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26380091
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武内 謙治 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10325540)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 少年院法 / 少年鑑別所法 / 少年行刑 / 最善の利益原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、展開期・2と位置づけ、次の作業を予定した。(1)国際人権法については、平成26年度の後半に実施するインタビューのフォローアップを行いつつ、この調査結果を踏まえた文献・制定資料の分析を進める。(2)ドイツに関しては前年度後期(展開期・1)で実施するアンケートの予備調査を踏まえて、調査項目を調整したアンケート調査の本調査を12州で行う。また、また、同様にアンケート予備調査を踏まえて、インタビュー(第1次)調査を4州で行う。(3)日本について、インタビュー(第2次)調査を行う。 本年度は、新しい少年矯正法(少年院法、少年鑑別所法)が施行されて間もない時期ということがあり、初動期における実務運用を調査するため、日本国内における矯正実務経験者へのインタビューを重点的に行った。それを通して、少年矯正実務における少年院法上の「最善の利益」原則の意義と課題を浮き彫りにすることに努めた。 海外調査として、本格的なアンケート調査は実施できなかった。しかし、研究者との情報交換を通じて少年行刑の実情に関する情報を収集することができ、予定した作業を大方埋め合わせができたと考えている。また、研究者へのインタビュー調査を現地で実施したことで、少年行刑理論をめぐる最先端の問題を把握することができた。 現在までの研究成果は、ドイツの少年行刑に関しては「少年行刑のための最低基準」の翻訳資料として、日本の少年矯正改革については「少年司法改革と非行理解・少年司法の社会性」と題する論文に反映させ、公表した。また、日本刑法学会第93回大会(ワークショップ9)における報告(「少年院法改正と少年の健全な育成」)も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた、海外におけるアンケート調査は実施できなかった。しかし、海外の研究者との情報交換および現地におけるインタビュー調査を通して、大方、作業を埋め合わせることができたと考えている。 また、国内における少年実務経験者へのインタビュー調査を重点的に推進することで、現在の問題状況の把握については大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの作業で把握できた情報をもとに、中間的な取りまとめの意味を込めて、論文を執筆し、公表する。 主にはインタビュー調査と文献調査によりながら、日本国内と海外(ドイツ)の動向をより一層詳細に把握できるように努める。その上で、研究をまとめ、論文として公表することを予定している。
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