2014 Fiscal Year Research-status Report
技術の高度化等に伴う街頭防犯カメラの新たな利用と法的規制のあり方の検討
Project/Area Number |
26380095
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
星 周一郎 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (10295462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 防犯カメラ / 交通取締り / 個人情報保護法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まず第1に、外国法を含めた本研究テーマ全体に関連する情報の収集を中心にした作業を行った。具体的には、洋図書や文献データベースを用いて、諸外国の動向に関する情報収集を行った。これにより、イギリスにおける新たな「防犯カメラ運用コード」の制定という重要な動きに関する情報をはじめ、英米諸国を中心とした情報を収集することができた。このほか、わが国の状況に関しても、平成26年度から動きが生じた個人情報保護法の改正に関連する情報などを中心に、適宜必要な情報収集を行った。 第2に、以上の情報収集等の作業と並行して、本研究の目的の1つであり、法的分析のための前提事情が比較的安定していると思われる、交通取締りにおける街頭設置カメラの利用というテーマに関して、議論状況の分析、検討のための準備作業に着手した。具体的には、アメリカ法を中心とした、制限速度違反取締りカメラや信号無視取締りカメラ等を対象とした論文等についての分析を進めた。 第3に、街頭防犯カメラの普及を基礎づけていると思われる、犯罪予防を求める世論と法理論の関係について分析し、その成果を2回の学会報告という形で発表した。 第4に、生体認証(顔認証)カメラや、認証結果の情報共有のあり方について、関連NPOでの研究会に参加するなどして、実情について情報を得た。これは、今般の個人情報保護法の改正の動きとも関連する流動性の高い領域での議論ではあるが、これまでに情報収集と簡単な分析の成果を基に、現時点での今後の方向性等に関して、平成27年1月および3月にシンポジウム等での発表を合計4回行うことができた。 これらの作業により、2年目以降の研究についての準備作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のテーマは、技術の進展や社会状況の変化、法改正の動向などにより変化の激しい分野に関わるものであり、何よりも最新の的確な現状把握を中心とした情報収集作業が、研究の前提として、ひときわ重要となる。以上に関して、英米における新たな動向に関する情報やわが国の個人情報保護法の改正に関する動き、あるいは、防犯カメラの新たな技術的展開などについて、2年目以降の分析・研究に必要な情報を、一定程度以上収集することができた。 そのほかに、研究テーマの一部については、すでに分析を行うことができている。 以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初の予想と比較しても、本研究の前提となる法的・社会的状況の流動性が高くなっているため、最先端の情報の収集について、遺漏なき対応に2年目以降も留意していきたい。 また、以上のような状況にあるため、収集した情報の法的分析には一定の困難が伴うものと考えられるが、分析・検討のための前提状況等が比較的安定している領域から、迅速かつ積極的にその成果を公表していくことが、本研究の成果を示すうえで重要であると思われる。 以上のような認識のもとに、今後の研究を推進していくことを予定している。
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Research Products
(2 results)