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2014 Fiscal Year Research-status Report

知的障害者等の取調べに対する法的規制~イギリス法に基づく立会い制度論の構築

Research Project

Project/Area Number 26380100
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

京 明  関西学院大学, 司法研究科, 准教授 (90513375)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords刑事法学
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、知的障害や発達障害を持つ者などを被疑者として取調べる場合には、彼(女)らの供述特性に配慮し虚偽自白を防止するために、彼(女)らの者に心理的・福祉的支援を提供する第三者を立会わせるべきことを、イギリス(本研究ではイングランド及びウェールズを指す)の「適切な大人(Appropriate Adult:以下AAと略す)」制度を参考にして検討し、制度モデルの構築を図るという点にあった。
そこで、研究の初年度にあたる平成26年度は、今後3年間の足がかりをしっかりと固めるために、①現在の日本法に関する現状と課題を明らかにするとともに、②AA制度に関する文献をリストアップし、その収集及び検討に努めることを目標としていた。①に関する研究実績としては、各種研究会における研究発表が中心となった。主要なものとして、2014年12月5日に第15回・被疑者取調べ録画研究会(於:京都弁護士会館)において「知的障害者等の取調べと可視化問題」とのタイトルで研究報告をしたことや、2014年12月26日に刑法読書会において「別件逮捕・勾留をめぐる近時の動向」とのタイトルで研究報告したことなどが挙げられる。
他方、②文献収集に関しては、2015年2月に、最終年度に向けての予備的な海外調査を行ったことにより、イギリスでしか入手できない文献の存在を含め、日本では容易に知り得なかった文献の存在を多数知り得た点に大きな収穫があった。また、その際、ポーツマス大学・刑事司法研究所のスタッフにインタビュー調査を行ったことにより、AA制度をめぐる現在のイギリスの問題状況を知り得たことも大きな収穫であった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前述のとおり、研究の初年度にあたる平成26年度は、今後3年間の足がかりをしっかりと固めるために、①現在の日本法に関する現状と課題を明らかにするとともに、②AA制度に関する文献をリストアップし、その収集及び検討に努めることを目標としていた。そして、それらの初年度の目標については、概ね順調に達成できていると考えられる。その理由は、以下のとおりである。
まず、①については、国内調査の充実、つまり、国内での学会及び各種研究会への出席並びに研究会での研究発表を充実させたことにより、日本国内の問題状況を十分に明らかにできたという点が大きい。また、前述「研究実績の概要」で取りあげた研究報告のほかにも、2014年5月10日に刑事立法研究会(於:龍谷大学)において「統合失調症、てんかん、睡眠障害等を有する運転手における危険運転致死傷の立証に関して考えられる問題点~訴訟法の観点からの問題提起」とのタイトルで研究報告したこと、2014年9月19日に第19回・一橋大学刑事判例研究会(於:一橋大学)において「別件逮捕・勾留に関する近時の裁判例の検討」とのタイトルで研究報告したこと、2015年2月9日に第4回刑事訴訟法理論研究会(於:鹿児島大学)において「松尾刑訴法理論の紹介・検討~証拠法編」とのタイトルで研究報告したことも、平成26年度の到達目標を達成するうえで非常に有意義であった。
さらに②についても、前述のとおり、2015年2月にイギリス調査を行い、イギリスでしか入手できない文献の存在を含め、日本では容易に知り得なかった文献の存在を多数知り得たこと、また、その際、ポーツマス大学・刑事司法研究所のスタッフにインタビュー調査を行ったことにより、AA制度をめぐる現在のイギリスの問題状況を知り得たことなども、平成26年度の到達目標を達成するうえで非常に有意義であった。

Strategy for Future Research Activity

2年目となる平成27年度は、資料の入手を継続するとともに、入手した資料を整理・検討し、本研究の理論的な進化を図る年度として位置づけられる。そこで、文献の収集については、上述のとおりイギリス法に関する文献が中心となるが、まだ完全に入手しきれていないものも多いため、引き続きその収集に努める。幸い、平成27年度は本務校より在外研究の機会を与えられているため、その入手については日本にいるよりもはるかに容易であると考えられる。また、入手した文献の検討についても鋭意取り組むとともに、イギリスの法曹実務家や法学研究者へのインタビューを通じて、実務的及び理論的な意義についても理解を深めていく予定である。
ところで、イギリスもEUの加盟国である以上、イギリス法制度もまた、EU全体の動向からの影響を受けない訳にはいかない。そこで、イギリス法制度自体の動向とその性格を客観的に評価するためにも、ヨーロッパ人権裁判所の判例の動向をフォローするとともに、EU各国の法改正の動向にも視野を広げつつ、イギリス法の理解の深化に努める予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] いわゆる攻防対象論の適用が単純一罪の事案に対しても認められた事例2014

    • Author(s)
      京 明
    • Journal Title

      法律時報

      Volume: 86巻8号 Pages: 126頁-129頁

    • Open Access

URL: 

Published: 2016-05-27  

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