2016 Fiscal Year Annual Research Report
Fidelity guarantee and Legal principles of contracts
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26380112
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
能登 真規子 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (60378429)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 身元保証 / 契約 / 保証人 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度中には、「民法改正と身元保証」、「民法改正と『保証人の保護』」という題名で2編の論文を執筆し、平成27年3月末に国会に提出された民法改正案をふまえた検討を行った(後者は、出版社提出済みであるが、平成29年5月時点において公刊されていない)。 「民法改正と身元保証」(法政論集270号97頁以下)では、法制審議会民法(債権関係)部会における保証(保証債務、保証契約)に関する議論を丹念に追った。身元保証は、もともと民法の特別法である身元保証に関する法律で規律されているために民法改正の論点として取り上げられることはもとより期待されなかったものの、審議会関連資料によれば比較的早い段階で身元保証への言及があったことが判明している。平成23年夏に募集されたパブリック・コメントでも、身元保証ないし身元保証法の見直しを求める意見が多く寄せられた。しかし、身元保証法の見直しの検討に関する記述は、平成24年春の段階で削除され、その後、改正議論の俎上に載せられることはなかった。 通常の債務の保証に関しては、当初、個人保証の禁止を含む保証人保護の強化が検討されていたが、最終的には、個人保証の責任の有無と範囲の明確化・厳格化という方向の改正が提案されるに至った。身元保証について、その見直しを行うべきか否か、どの方向で見直すべきなのかについての結論は示されなかった。 今後、身元保証の見直しを行うとすれば、身元保証の締結の実態をふまえる必要がある。身元保証人には通常、被用者(労働者、従業員)の近親者が就くため、身元保証人への請求はいわば身内の不始末に対する責任追及となっており、その保護は主張されにくい。しかし、身元保証が労働関係という各人の生活基盤に関わってくるものである以上、適当な身内のいない被用者にも配慮して、身元保証契約の成立と内容の規制を考えるべきである。
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Research Products
(1 results)