2014 Fiscal Year Research-status Report
米国連邦倒産法の制定過程の総合的分析―再建型手続統合のプロセスをめぐって
Project/Area Number |
26380136
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 哲夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90063809)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 1978年連邦倒産法 / 1938年旧連邦破産法 / DIP / 民事再生法 / 再生債務者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、米国の1978年連邦倒産法(Bankruptcy Reform Act of 1978,Pub.L.No.95-Sta.2549.以下、「1978年法」という)が制定される過程で、1938年旧連邦破産法における第X章手続(Corporate Reorganization;会社更生)と第XI章手続(Arrangements;債務整理)が統合されて、1978年法で第11章手続(更生)に至った経緯を研究の対象としている。 平成26年度においては、1940年代から1960年代あたりまでの本研究に関連する米国の貴重な文献を中心とした資料の収集(6冊の書籍文献を入手)を行い、これを精査し検討を行った。これを踏まえて、本研究の一環として、特に1978年法の第11章手続(更生)における「財産の占有を継続する債務者」(Debtor in Possession;DIP.以下「DIP」という)の手続上の位置づけと1938年旧連邦破産法におけるDIPの手続上の位置づけを比較検討し、これを踏まえて日本の民事再生法における再生債務者の公平誠実義務(民事再生法第38条2項)を介した手続上の位置づけの検討を行った。その成果は、論文「日米における『再生債務者・DIP』論の一断面-公平誠実義務と信認義務をめぐる理論状況」(日本民事訴訟法学会・民事訴訟雑誌61号1頁~25頁・平成27年3月)として公表した。 本年度において蒐集した資料、及び、本研究を開始する以前に蒐集した文献のデータベースを、本研究で収集した文献を含めて現在65冊の文献につき作成した。現在、その解題を作成中であるが、本研究の完成年度である平成28年度において公表する予定で、平成26年度の作業を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度蒐集を予定した1930年代から1960年代にかけての米国の貴重な文献(単行本6冊)を入手することができ、これを活用することによって旧1938年連邦破産法におけるDIPの手続上の位置づけの分析を行うことができ、本研究の旧1938年連邦破産法・第X章手続(Corporate Reorganization;会社更生)と同・第XI章手続(Arrangements;債務整理)の統合過程の一端を分析することが可能となった(その成果の一部につき、論文「日米における『再生債務者・DIP』論の一断面-公平誠実義務と信認義務をめぐる理論状況」(日本民事訴訟法学会・民事訴訟雑誌61号1頁~25頁・平成27年3月参照)。 資料のデータベース化は、26年度においてはそのフォーマットを作成しそれに基づいて、解題を含めて作業を実施した。現在まで蒐集した書籍文献を含めて研究室所蔵の65冊の文献を整理したところである。さらに今後本研究を通じて収集した文献を加えるとともに、データベースのフォーマットに改良を加える予定にしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降には、さらに蒐集した文献を分析し、平成26年度に行った1978年法および1938年旧連邦破産法におけるDIPの位置づけをめぐる問題からこれを踏まえてさらに視点を広げ、本研究の課題である1938年旧連邦破産法における第X章手続(Corporate Reorganization;会社更生)と第XI章手続(Arrangements;債務整理)が統合されて、1978年法で第11章手続(更生)に至った経緯全般に分析を広げる。 また、本研究のテーマの一つでもある1938年旧連邦破産法が日本における戦後間近の会社更生法の制定(昭和27年)にどのような影響を与えたか、国立公文書館などの所蔵資料の探索が重要な意味を有するが、研究協力者の協力を得て実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
平成26年度において、研究協力者3名が各自の本来の研究論文執筆に多忙のため、研究代表者のほうで配慮して十分な研究協力を得ることを断念したため、そのための人件費・謝金の支払いがなかったことによる。平成27年度には、研究協力者各自の研究協力の体制が整備されてきたため、積極的な協力を得る予定になっている。 旅費については、国内大学図書館および研究機関への出張が、公務・校務が繁忙であったため、なかったことによる。物品費については、機器の購入が当初予定した購入額よりも廉価で購入できたことによる。物品費としての書籍については、必要文献を精査した上で購入したことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費については、国内大学図書館および研究機関への出張並びに国外図書館および国立公文書館での調査を予定している。物品費としての書籍については、現在、必要文献を精査した上でさらに高額資料の購入を計画している。研究協力者各自の研究協力の体制が整備されてきたため、積極的な協力を得る予定になっている。
|
Research Products
(1 results)