2016 Fiscal Year Annual Research Report
Intelligence Activity of the Embassy in Japan and its Influence to the U.S. Decision Making
Project/Area Number |
26380187
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
信夫 隆司 日本大学, 法学部, 教授 (00196411)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 奄美諸島 / 領土返還 / ジラード事件 / 刑事裁判権 / 日米密約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「奄美返還と日米密約」および「ジラード事件と刑事裁判権」を中心に研究した。これらの出来事をめぐる日米間の交渉において、在京米大使館がどのような役割を果たしたのか、あるいは、在京米大使館による本省への意見具申がアメリカ政府の決定にどのように影響を及ぼしたのかを検討した。 奄美群島の施政権が日本に返還されることを定めた奄美返還協定は、1953年12月24日に締結され、翌25日に発効した。それゆえ、アメリカからのクリスマスギフトとよばれることもある。この奄美返還は、1968年の小笠原諸島の返還、さらには、1972年の沖縄返還の原型をなすものとして重要である。本研究により、奄美返還協定の締結において、日米安保条約にもとづく日米行政協定下、日米合同委員会の秘密合意議事録の存在を明らかなった。アメリカ側は、奄美群島を日本に返還するとはいえ、同群島が鹿児島と沖縄とのほぼ中間に位置するという地政学的な重要性ゆえ、米軍の行動が最大限に確保されることを重視した。この秘密合意議事録のもっとも重要な点は、小笠原諸島に米軍にとって敵対的又は有害な電波妨害施設等がある場合には、それを除去する義務を日本側が負ったことにある。 つぎに、ジラード事件についてである。本年はこの事件発生からちょうど60年(事件発生は、1957年1月30日)にあたる。そこで、刑事裁判権密約との関連で、ジラード事件固有の密約についても考察した。ジラード事件は、先行研究によって、その概要は明らかにされている。本研究では、先行研究を踏まえ、アメリカ側がなぜジラードの裁判権を行使しないとしたのか(その結果、日本側が裁判権を行使することとなった)、また、ジラードの罪を傷害致死を超える罪では起訴しないとの日米密約は、どのようにして交わされたのかを明らかにした。
|
Research Products
(2 results)