2014 Fiscal Year Research-status Report
公益法人制度改革による非営利団体の政治活動への影響と制度条件の国際比較研究
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26380199
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 仁宏 関西学院大学, 法学部, 教授 (20169155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 公益法人 / 非営利団体(NPO) / 政治活動 / アドボカシー / チャリティ法 / 政治資金 / アメリカ:イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度には、関連文献調査とアメリカのNPOなどへの聞き取り調査を予定していた。 1、文献調査については、ほぼ予定にそって遂行することができた。 2、アメリカの状況の聞き取り調査については、一定程度の進展を見た。第一に、連邦政府レベルでは、特に501(c)3のみならず、4のカテゴリーでの政治活動規制の問題が非常に重要となっていることを確認し、その基本的な問題状況を把握することができた。また第二に、これまで日本での研究蓄積の少ない州レベルでの規制についても、ワシントン州での状況把握と、近年大きな制度改革を行ったニューヨーク州での規制状況の把握に努めた。ただし、実態把握については、未だ十分とは言えない状況がある。 3、3年目に遂行予定であったイギリスでの調査について、公益社団法人公益法人協会のプロジェクトに参加する機会を得て、先行調査を行うことが可能になった。この点では、当初計画に先行して研究調査を行うことができ、大きな収穫を得ることができた。 これらの成果は、2015年3月の日本NPO学会研究大会、2014年市民社会セクター全国会議などいくつかの機会にスカイプ参加を行うなどの形で、発表を行った。また、2015年3月には、日本での公益法人制度改革の成果と課題をまとめた著作を編集し出版することができた。直接には公益法人の政治活動について取り扱ってはいないが、政治活動規制の前提となる制度状況について整理し課題を提出することによって、学会のみならず社会的に貢献することができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査については、ほぼ予定通り進行している。 アメリカの状況については、特に州レベルでの制度把握の重要性が明らかになり進行させている。個々の団体の実態把握については、アンブレラ組織の調査とともに今後充実させるべき課題である。 予定では3年目に行う計画であったイギリスの実態調査を先行して行うことができ、早い時期に複数の国際比較視点を得ることができたことは研究計画上大きな成果である。 また、編著を出版し、かつ報告書原稿を執筆することによって、成果発表も順調に進めることができている。 全体としては、おおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、アメリカの状況把握については、連邦レベル及び州レベルともに継続して進め、成果を発表していきたい。また、個々の組織実態については、既存研究の整理を含め調査を進展させていく。 第二に、日本の状況についての調査を本年度には行いたい。そのための予備調査を含め進める予定である。 第三に、日本の制度状況の進展が思ったよりも早く、これに対応するために学会レベルでの組織化を行い、研究者交流を進めるようにしたい。 第四に、イギリスの実態の把握については、一方ではイギリスの2015年の総選挙結果の影響を見極めつつ、他方では、関連するオーストラリア、ニュージーランドなどの状況にも注意しつつ、昨年度の研究成果である報告書を出版する計画を進行中である。 以上のように、総合的な国際比較研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究費の残額が出たのは、 1、当初の実施計画における文献研究計画における収集予定文献について、ある程度インターネット情報による収集が可能なことが判明したこと。2、後半においては、滞在先のワシントン大学でのデータベース及び図書環境が大変優れており、それらを利用した形での文献利用を大いに進めることができたこと、3、公益財団法人公益法人協会の調査ミッションに参加することができたことによって、イギリスでの調査を含め情報収集が容易化したこと、4、アメリカでの聞き取り調査の団体への実施予定は、一部団体については行ったが、同時にそれ以前の制度研究の必要性が判明したことによって、一定規模の調査については後年に変更したこと、によっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文献収集については、所属する図書館の所蔵文献との突合せをしつつ、無駄のない形でのより深い文献収集を行うことを予定している。アメリカの団体のヒアリング調査については、州レベルでの規制の重要性が一層明らかになってきたこともあり、今後州当局の規制状況の把握を重点に行うとともに、アンブレラ組織への調査を行う形で進める予定である。また、イギリス、オーストラリア、及びニュージーランドの文献についても今後収集を強化する予定である。 また、今年度の日本での調査において、昨年度の繰り越し分を利用してより充実した調査を行うことを計画している。
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Research Products
(4 results)