2017 Fiscal Year Research-status Report
公益法人制度改革による非営利団体の政治活動への影響と制度条件の国際比較研究
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26380199
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 仁宏 関西学院大学, 法学部, 教授 (20169155)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 公益法人 / 政治活動 / 非営利法人 / 政治活動規制 / 公益認定等委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、公益法人の政治活動規制の規範はどのようであるべきかについて探求している。このため、本年度に至るまで、持続的に、第一に、日本NPO学会において、諸外国での規範の状態に関して、積極的に学会報告やセッション形成を行い、関連の研究者と交流しつつ知見を深めてきた。第二に、公益認定制度の実態と、その問題点の把握を行ってきた。さらに、第三に、時事的に関連する問題、特に公益法人制度と比較対象として重要な特定非営利活動法人制度も含めて、生起する諸問題に対して積極的に実態把握に努め、適宜その成果を発表してきた。 これらの過程での研究成果については、別途成果リストを参照されたい。 主たる知見としては、政治活動の概念における、選挙活動とそれ以外の活動を類型化したうえで、それぞれの特に英米法諸国における非営利公益団体に対する規制内容を把握した。具体的には、一般的には選挙活動に対する厳しい規制がなされている。しかし、それ以外のアドボカシー、ロビーイングについては一定の規制をしつつも緩やかに執行されているということができる。日本では、法人類型によって、この規制に大きな差異が存在しているが、その正当性については、十分に検討されていないことが明らかになった。 なお、当初の研究計画にあった全国の公益認定等委員会(都道府県の場合には正式には合議制機関)及び行政庁に対する調査は、2018年度に持ち越されることになった。この理由は2017年度にも関係するが、2017年9月から大阪府の同委員会の委員長に就任したことから、業務との関係で、知見が深まっていることと職務上の守秘義務との関係で調査についての慎重な取り扱いが必要になったことによる。 2018年度は最終年度に当たることから、これらの条件を踏まえつつも、計画された調査を実施し、さらにこれまでの学会報告を含めて成果としてまとめて公表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の研究成果の概要のように、研究目的を達成するため、制度に関する国際的情報収集や規範論的研究は進んできた。しかしながら、予定していた調査が行われておらず、その点では、課題を残している。 このことは、研究計画全体の進捗という点で外形的には遅れであるが、内容的には、委員就任によって参与観察的なことも可能な状況もあり、知見という点では深化してきており、大きな問題とは認識していない。 また、関連して、非営利組織の新しい展開との関係での知見も蓄積しており、その点での深化も行われている。 以上から、若干遅れているとはいえ、全体としては、順調であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、予定していた調査を行うことが最も重要な課題である。同時に、研究成果をまとめて発表することとしたい。これらのために、すでに2018年度も6月には学会報告を2本、セッション形成を1本予定している。調査票の作成が重要であるので、この点での作業を中心的に行うことになる予定である。
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Causes of Carryover |
成果概要及び評価について記載したように、調査予定の計画が未実施であり、次年度に費用を持ち越すことにしたために、未使用額が生じた。 したがって、次年度にこの調査を行うことによって、費用の支出が予定されている。
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Research Products
(6 results)