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2014 Fiscal Year Research-status Report

戦時期の「日本文化講義」と経済学者

Research Project

Project/Area Number 26380262
Research InstitutionOsaka Institute of Technology

Principal Investigator

上久保 敏  大阪工業大学, 工学部, 教授 (20309173)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords日本文化講義 / 思想善導 / 教学刷新 / 日本諸学振興委員会 / 日本経済学
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、政府による思想善導策の1つであった戦時期の「日本文化講義」に着目し、その全容を解明するとともに経済学者の日本文化講義への関与について考察することにある。日本文化講義は昭和11年度から文部省・教学局が帝国大学・官立大学・直轄諸学校さらには私立大学などにも実施を要請したいわば官製講義であったが、これについて今日まで十分な研究が行われてこなかった。
当年度は日本文化講義の全容を明らかにすることに重点を置き、日本文化講義の実施状況について調査を進めた。『思想時報』、『教学局時報』などの逐次刊行物に代表される文部省や教学局の日本文化講義関係諸資料に当たるだけではなく、日本文化講義の実施主体である帝国大学・官立大学・直轄諸学校等の後身大学に残されている「日本文化講義関係書類」についても着目し、当該校と文部省・教学局との間の往復書類などの簿冊を中心に金沢大学などで関係資料の閲覧調査やデジタルカメラによる撮影複写等を行った。その結果、昭和11~16年度の全国的な実施状況に加え、当局が選定した日本文化講義の講師一覧表を複数確認することができた他、昭和17年度以降の実施状況についても部分的に把握することができた。さらに早稲田大学や龍谷大学などでも日本文化講義関係書類を閲覧調査し、これまでほとんど明らかにされてこなかった私立大学における日本文化講義の実施状況についてもごく断片的でありながら確認することができ、いくつかの事実が判明した。
当年度の調査分析結果については年度内に学会や論文等で発表することはできなかったが、分析結果の一部について当年度末から原稿の執筆に着手しており、平成27年度中に論文等の形で公表を予定している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

「研究計画」において当年度は、①文部省・教学局の「日本文化講義」関係諸資料の精査、②各大学が所蔵する「日本文化講義関係書類」の閲覧調査・文書撮影による資料収集、③「日本文化講義関係書類」や学生新聞を利用した、学生・生徒の日本文化講義の受容状況についての調査、を予定していた。
このうち①と②については概ね順調に行うことができたが、調査を進める過程で、日本文化講義の全容解明には更なる資料収集と収集した資料のより綿密な分析が必要であると認識するに至った。また、③については、調査を行った大学の「日本文化講義関係書類」に学生・生徒の感想文が残されていなかったことも影響し、当初計画通りに進んでいるとは言い難い段階である。こうしたこともあり、当年度内に研究内容を論文等の形にまとめることができなかった。
以上の点を踏まえ総合的に考えると、現在までの達成度については、やや遅れている状況にある。

Strategy for Future Research Activity

当初の「研究計画」においては、次年度は日本文化講義への経済学者の動員・関与状況について解明するとともに経済学者が行った日本文化講義の講義内容を調査分析することに重点を置く予定であった。
しかし、当年度において調査を進めていく過程で日本文化講義の全容を解明するためには次年度においても引き続き資料収集と収集資料の考察に時間を割く必要があるという結論に至った。このため次年度は、部分的にしか把握できていない昭和17年度以降の日本文化講義の実施状況や、調査の進捗に遅れが生じている学生・生徒側の日本文化講義の受容状況について、できるだけ多くの資料に触れることで、その把握に努めたい。
また、私立大学での日本文化講義の実施状況や昭和5~11年度に高等学校・高等専門学校などで実施され、日本文化講義の前身でもあった「特別講義」についても視野に入れながら調査を進める所存である。
その上で、入手できた日本文化講義関係資料のうち、特に経済学者の動員・関与状況に関する資料については入念に分析に当たるようにしたいと考えている。

Causes of Carryover

次年度への繰越金が生じたのは、①基金という形態で交付された助成金の長所を活かし、当初予定していたノートパソコンの購入を次年度に回すことにしたこと、②購入予定の図書(絶版本)が古書店で品切れ等になっており、購入を見送らざるを得なかったこと、③資料調査の対象とする大学を居住地から比較的近距離の大学や首都圏の大学にしたことで、日帰り出張が中心となり、当初見込みよりも出張旅費の支出が少なくなったことが主な理由である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

本研究で取り扱う日本文化講義関係文書の画像データの保存、分析、考察のために次年度においてはノートパソコンの購入を予定している他、当年度は品切れ等の理由で購入を見送るに至った日本文化講義に関連する資料(絶版書)を粘り強く探索し、購入する心算である。
また、次年度においても引き続き日本文化講義の全容解明に重きを置くため、所属大学図書館を通じて各大学に日本文化講義関係文書の閲覧申請を行い、現地での閲覧調査・文書撮影による資料収集のため、国内各大学への出張旅費に助成金を充当する計画である。

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Published: 2016-05-27  

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