2015 Fiscal Year Research-status Report
市場構造に応じた製品の開発、流通および販売形態に関するゲーム理論分析
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26380320
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
梅澤 正史 東京理科大学, 経営学部, 教授 (20361305)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / 産業組織論 / 経営科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
技術特許ライセンス供与問題をゲーム理論のモデルによって分析を進めた。研究年度1年目から取り組んでいるのは、新製品の革新的な技術のライセンス供与に関する問題である。この問題に対して2年目も引き続き研究を進めた。この問題は、生産プロセスの新しい技術に関するライセンスの供与問題ではないことに注意しておく。また、ライセンスを持っているのは、市場内の企業であり、研究開発を専門に行って製造販売には関わっていないタイプの企業ではない、という状況を想定している。特に着目しているのは、ライセンスを持っている企業はどのような契約方式を使ってライセンスをライバル社に供与するべきかという点である。これは、市場の様々な状況に依存して最適な方策も変わってくると予想される問題であり、その各状況を判別することも重要な意義のあるトピックであると考えている。 この問題に対して、1年目に出た結果は、固定費型とロイヤルティ型を複合的に含むライセンス契約方式の優位性に関するものである。つまり、固定型契約とロイヤルティ型契約という単独形式を利用した場合と、この複合契約方式の場合では、どちらのほうがどのぐらい優れているのか、またいつそれが優位なのかについての結果である。一方で、固定費型とロイヤルティ型の単独契約方式についての比較研究については、モデルのパラメータに関して一部の結果しか得られていなかった。そのため、2年目は全パラメータについて網羅的に変化させたときの結果の分析に集中した。数値計算ソフトを使って色々な数値実験を繰り返しこの分析に対する結果を得ることができた。市場の状況(パラメータ)に関して特徴的な傾向も得ることができ、また結果は妥当であることの解釈も与えることができた。この研究に関する論文は国際学術誌に投稿中である。また、少し異なるモデルに関しても国際学術誌に投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画においては、1年目はまず技術ライセンス供与問題に取り組み、2年目以降はこの問題に加え、製品流通にかかわる垂直的取引制度の問題と、価格差別化を含む競争の経済的影響・効果についての問題、について研究を推し進める計画であった。ライセンス供与問題については、予定通り研究が進んでいる。概要にも述べたように、市場環境ごとに、固定費型契約、ロイヤルティ型契約、複合型契約の優位性が判明し、新製品開発の際に技術ライセンスを持つ企業がどのような方策を採ればよいのかを考える手がかりとして利用できるのではないかと考えられる。また、ライセンスを受ける企業にとっても、ライセンスを受けないで市場で競争にさらされるよりも有益になる市場環境があることが分かったことから、ライセンスを受ける側の企業にとっても、契約のオファーあったときに、それを受けることのメリットに関して検討することができる。 一方で、上記2番目の取引制度の問題と3番目の価格差別化の問題に関しては、研究が進んでいない。ただ、昨今の研究論文のサーベイは進んでいて、実際のモデル分析まではいっていないという状況である。特に、調べていくうちに、昨今の問題の広がりを認識できたことは今後の研究を進めていく上で役に立つと言える。これらの文献をもう少し体系的にまとめ、整理することが必要ではあるが、この整理ができれば少しずつ分析に取り掛かれることになると思われる。 以上のような理由から、研究はおおむね順調に進展している、というのが現状であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、技術ライセンス契約の問題に関しては、他の先行研究との比較をする必要がある。扱う対象が異なるが似たモデルとしてWang (2002) がある。この研究は新しい生産技術のライセンス供与の問題を扱っているため、現実の対象例は異なるが、考えているライセンス契約方式は同じものである。この研究では、解釈の読み替えを行うことによって同様の結果を得ている箇所が一部あることは確認できたが、対応関係が解釈仕切れていない箇所も存在するため、吟味する必要がある。方策としては、Wang(2002)のモデルに対して数値実験を施すことが考えられる。対応するパラメータを動かしてグラフで表現することによって、似た図が描けるかどうかがポイントとなる。もし異なるグラフが描かれるようであれば、そのケースに関してはなぜ異なるかの解釈が可能なはずである。また、取引制度の問題と価格差別化の問題に関しても、文献の整理が完了し次第、まずは先行研究のモデルを数値的に動かしてみることによって、モデルの理解に努めたい。これは、理解を深めるために有益な方法だと考えられる。その際、数値計算ソフトのさらなる便利な機能を身につけることが研究推進に繋がる可能性があるため、講習会があれば参加することが方策と考えられる。 さらに、国内だけではなく国際学会へ積極的に参加・研究報告をすることによって、先端の研究成果を吸収してくるとともに、自身の研究に対する意見・コメントをもらえるよう努める。これは研究を大きく進展させる機会となる。研究成果を英文論文にまとめる際は、英文校閲のサービスを利用することが、効率的に成果報告を行う手助けとなり、研究推進方策となる。
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Research Products
(2 results)