2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Direct Credit for Small and Medium-sized Enterprises in Malaysia: Features and Effects
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26380321
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中川 利香 東洋大学, 経済学部, 教授 (60450532)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マレーシア / 中小企業 / 中小企業政策 / 金融支援 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、(1)中小企業の個票データを用いて政府の金融支援を受けている中小企業の属性分析、(2)政府の金融支援の効果に関する分析を行った。 (1)については、次の4点である。第1に、取締役会の民族構成にブミプトラが含まれているほど支援にアクセスしている。第2に、固定資産保有額が多いほど支援を受けている。第3に、企業業績があまり良好でない企業ほど金融支援を受けている傾向がある。第4に、操業年数は政府の金融支援に大きな影響を及ぼした様子は確認できない。これらを総合すると、開発金融機関を通じた政府の金融支援は、担保は保有しているものの業績があまり良好でない中小企業に提供されているとみられる。また、政府の金融支援は取締役の民族構成に強く関係していることである。これは、マレーシアの中小育成の経緯を鑑みると妥当な結果といえるだろう。データを用いた分析においてもこの点を確認することができたといえる。 (2)については、先行研究を参考に、個票データを用いて政府の金融支援が雇用伸び率および売上伸び率における影響を分析した。その結果、雇用および売上の伸び率に対する政府の金融支援の貢献を確認することができなかった。本分析の結果をより説得性を持たせるために、サンプルサイズを増やして分析を深化させることが必要である。また、他の手法においても同様の結果がもたらされるかを確認する必要があるだろう。 また、これまでの研究を通じてマレーシア政府は中小企業支援策を充実させてきたことが明らかになった。政府の目的を達成するために設立された開発金融機関も、アジア通貨危機後の金融部門改革により、整理・統合がすすめられた。その際、中小企業を専門的に支援する金融機関が設立され、政府の中小企業支援の中核を担っていることも判明した。
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