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2014 Fiscal Year Research-status Report

ミャンマーの脱ドル化

Research Project

Project/Area Number 26380352
Research InstitutionInstitute of Developing Economies, Japan External Trade Organization

Principal Investigator

久保 公二  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, バンコク事務所, 研究員 (00450528)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywordsドル化 / 外国為替制度 / 国際情報交換 ミャンマー
Outline of Annual Research Achievements

初年度にあたる平成26年度には、入手可能なマクロ経済統計と外国為替・貿易規制に関する情報を整備して、ミャンマーのドル化の概況を考察した。ドル化の分析では、ドル化の指標として、広義の通貨供給量(M2)に占める外貨預金の割合が参照されるが、同国では外貨預金残高は公表されていない。そこで、銀行部門の対外資産が国内の外貨預金に相当するという仮定でドル化指標を計測した。また、外貨預金の保有に関連する外国為替・貿易制度を再検討した。
ドル化指標の計測では、外貨預金のM2比率が2007年時点で41.8%に達し、ミャンマーでは少なくとも指標上はドル化が進行していることを確認した。また外貨預金残高が、2005年から2011年にかけて増加した後、2012年に急落していることを確認した。この結果をミャンマー中央銀行調査部に報告したところ、当局から外貨預金残高のデータの開示は得られなかったものの、今回の計測が妥当であるとのコメントを得た。なお、こうしたドル化指標の計測は、これまで同国については行われていない。
一方、外国為替・貿易制度の再検討からは、外貨預金が貯蓄や決済手段として保有されるよりも、政府の予算管理の仕組みや制約的な外国為替規制が外貨預金保有の動機になっているとの推測に至った。まず、政府の外貨予算管理の制度上、国営企業の外貨収入が政府の外貨預金として留保されるため、2000年代半ばの国営企業の好調な輸出増加が外貨預金とドル化指標の上昇につながった。そして2012年度には政府が中央銀行に外貨を売却したため、外貨預金残高が急落した。また、外国為替管理規制では、民間企業間の外貨預金の売買が認められているため、輸出企業が輸出獲得外貨を銀行に売却せず、外貨預金で保有している。これらから判断すると、ミャンマーでは、計測されたドル化指標の値ほどには、ドル化は進展していないと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初計画で本年度に予定していた、企業の外貨資産保有動向に関するアンケート調査の予備調査を取りやめた。円の対ドル為替レートの変動で、調査の予算がドル建てで2割近く目減りしたため、予備調査と本調査を分割して調査会社に発注すると、本調査の規模を縮小しなければならない懸念がある。そこで、予備調査を簡略化して本調査と一括で発注することで、本調査でのサンプル数の規模を確保する。

Strategy for Future Research Activity

企業の外貨資産保有動向に関するアンケート調査を実施し200社程度のデータを収集する。平成27年度前半には入札をとおして調査会社を選定し、アンケート調査を実施する。アンケート調査自体には、調査会社選定のための入札準備と手続き2か月、予備調査と質問票の改訂1か月、本調査2か月程度を見込んでいる。年度後半にはデータセットを構築する。
また、外国為替・貿易制度のマクロ的な考察も継続する。政府の外貨預金の中央銀行への売却のような制度変更が続いているので、そうした改革が銀行部門全体の外貨預金残高に及ぼす影響を新たに公表される統計を用いて確認する。ミャンマーでは制度的な理由から外貨預金が保有されてきた、という初年度の仮説の妥当性をこの作業をとおして検証する。
さらに、外国為替市場の構造を把握するため、移民労働者の本国送金について補完的な考察を行う。2012年以降の為替制度改革の影響で、銀行に移民労働者の送金が取り込まれるようになり、これが銀行と企業の外貨売買の関係にも影響を及ぼしている可能性が新たに疑われる。ミャンマーでの現地調査の際に、企業へのアンケート調査と並行して、銀行や両替商にヒアリングを行い、移民労働者送金の動向についての基礎的な情報を収集する。

Causes of Carryover

当初計画で本年度に予定していた、企業の外貨資産保有動向に関するアンケート調査の予備調査を取りやめた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成27年度に、予備調査と本調査を一括で調査会社に発注して実施する。

Research Products

(3 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Foreign exchange market reform in Myanmar: Achievements and challenges2014

    • Author(s)
      Kubo, Koji
    • Journal Title

      Journal of Southeast Asian Economies

      Volume: 31(2) Pages: 210-224

    • DOI

      10.1355/ae31-2d

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Dollarization in Myanmar2014

    • Author(s)
      久保公二
    • Organizer
      日本国際経済学会第73回全国大会
    • Place of Presentation
      京都産業大学(京都府京都市)
    • Year and Date
      2014-10-25 – 2014-10-26
  • [Remarks] Deposit dollarization in Myanmar

    • URL

      http://www.ide.go.jp/English/Publish/Download/Dp/473.html

URL: 

Published: 2016-05-27  

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