2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380385
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小川 禎友 近畿大学, 経済学部, 教授 (30330228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 亮 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90324855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 法人税 / 貿易の不均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の小川は、企業の立地選択を認めた寡占モデルにおける法人税の厚生効果を分析した。この論文は、"The Welfare Effects of Attracting Foreign Direct Investment in the Presence of Unemployment"というタイトルで、大阪大学社会経済研究所からISER Discussion Paper (No 959)として公開されている。また、この論文を国際雑誌に投稿中である。 研究分担者の堀井は、複数国の動学シミュレーションを拡張すると同時に、現実の時系列にカリブレートする作業を行っている。また、複数の国が存在する世界経済においてそもそもなぜ国際収支や貿易の不均衡が起こるような構造的な非対称性(例:選好の違い)が存在するのかという根源的問題についても分析を開始した。これらの中間成果を、米国Social Science Research Council主催による国際カンファレンスで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の小川は、複数国が協力して域内の厚生を最大にする最適課税問題を分析している。最適物品税のラムゼイ公式が域内の各国で成立することがわかった。研究分担者の堀井の進捗状況は次の通りである。現実の国際収支データには、株価や為替レートの変化という予測不可能なValuation Effectが含まれており、一方理論的な複数国の動学分析においてはそういったショックを想定していない。そこで、現実データからValuation Effectを取り去った仮想的な時系列に対してカリブレーションを行うことで良好な中間結果を得ている。また、国際収支不均衡の根源的要因としては、文化的差異に注目したHofstedeによるLong-Term Orientation指数が有力な説明変数になることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、研究代表者の小川と分担者の堀井の共同研究として、動学解放モデルにおける最適課税問題の分析を試みる。
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Causes of Carryover |
研究代表者の小川に関しては、研究図書の購入が予定より少なかった、ソフトウェア(Mathematica)を購入しなかった、ことがあげられる。さらに、分担者の堀井が在外研究のためブラウン大学に在籍しているので、予定より雑誌、書籍を購入することが少なくて済んだこと、学会参加旅費が必要でなくなったこと、研究代表者である小川との打ち合わせは、別予算による海外出張用務に付随して行ったことにより予算を節約できたことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、研究書籍・論文の購入を増やすこと、海外大学での研究打ち合わせ・資料収集・学会参加などのための旅費に使用すること、などを計画している。また、英語添削代に割り当てる金額を増額することを計画している。これは、円安と各論文の文字数が当初の予定より多くなったためである。
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Research Products
(3 results)