2014 Fiscal Year Research-status Report
政策評価分析の手法による資本規制と為替制度に関する実証研究
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26380395
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
江阪 太郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60347515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際金融 / 資本規制 / 資本自由化 / 為替制度 / 為替政策 / 政策評価 / ミクロ計量経済学 / 内生性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
資本規制(資本自由化)と為替政策及び制度の選択問題は、国際金融において最も重要なトピックの一つであり、過去十数年間研究されてきた。特に最近のグローバル金融危機を契機に、学界、各国の政策当局者により、より議論させるようになり、国際経済の最も中心的かつ緊急的な検討課題になっている。 本研究の目的は、資本規制(資本自由化)と為替政策及び制度の経済パフォーマンスへの影響を分析することである。資本規制及び為替政策の選択はランダムには行われていないので、それらの政策効果を正しく推定するためには、政策選択の内生性問題を明確に考慮して分析する必要がある。そこで本研究では、ミクロ計量経済学の政策評価分析を用いて、この内生性問題を解決し、資本規制と為替政策の政策効果を正確に推定する。最終的な目標は、資本規制政策及び様々な為替制度の系統的な特徴を明らかにし、有益な政策的インプリケーションを提供することである。 本研究の研究期間は3年であり、1年目はデータの整備と分析手法の研究開発を主に行った。具体的には、資本規制と為替制度の経済パフォーマンスへの影響を実証分析するために必要なクロスカントリー・パネルデータを構築した。そして、ミクロ計量経済学の手法である政策評価分析をクロスカントリー・パネルデータに応用し、政策選択の内生性問題を考慮して政策効果を推定するために必要な様々なマッチング法の研究開発を行った。加えて、正確な政策効果を推定するためには、政策を行わなかった場合のアウトカム、つまり仮想現実(counterfactual)を推定する必要があるので、そのための有益な分析手法であるsynthetic control methodsの応用と研究開発も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究計画では、資本規制と為替政策及び制度の経済パフォーマンスへの影響を実証分析するために必要なクロスカントリー・パネルデータを構築し、ミクロ計量経済学の手法である政策評価分析をクロスカントリー・パネルデータの分析に応用するための分析手法の研究開発を行うことであった。その計画通りに概ね順調にデータの整備と分析手法の研究を行うことができた。 ただし、具体的な実証分析を行うために、またより精緻な分析を行うためには次年度以降もデータの整備と分析手法の研究を行う必要があると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究期間を3年として、1年目は、主に「データの整備と分析手法の研究開発」、2年目は、主に「実証分析と論文の作成」、3年目は、主に「実証分析の手直し、論文の作成・発表」を行う。よって、2年目では、1年目に整備したデータを適切なモデル及び分析手法を用いて、実証分析を行い、論文の作成を行う。なお、研究を円滑に行うためには、今後も適宜、データの整備と分析手法の研究開発を行う。3年目では、2年間の研究を踏まえて、分析の手直し、または新たな研究を推進しつつ、論文をセミナーや学会で発表し、アカデミック・ジャーナルに投稿し、掲載されるように努力する。
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Causes of Carryover |
初年度において、データ、資料、PC、PCソフト等を購入するために、また資料収集及び研究のための旅費のために、研究費を使用したが、次年度に新しい統計ソフトが発売される情報を得たので、そのために初年度の研究費の使用額を少なくして、次年度に研究費を多く使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)新しいデータを随時更新するために、研究費を使用する。(2)実証分析に必要なモデル及び分析手法の研究開発を行うための資料を購入するために、研究費を使用する。(3)ソフトウェアの新規購入及びバージョアップのために、研究費を使用する。(4)研究発表、資料収集、研究打ち合わせのための旅費として、研究費を使用する。(5)論文のアカデミック・ジャーナルへの投稿料として、研究費を使用する。(6)英文校閲のために、研究費を使用する。(7)研究補助等の謝金のために、研究費を使用する。
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