2016 Fiscal Year Research-status Report
政策評価分析の手法による資本規制と為替制度に関する実証研究
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26380395
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
江阪 太郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60347515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際金融 / 資本自由化 / 為替制度 / 経済成長 / 経済パフォーマンス / 政策評価 / 政策の内生性問題 / ミクロ計量経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
資本自由化と為替制度の選択問題は、グローバル金融危機を契機に、学界、各国の政策当局者により、今まで以上に議論されるようになり、国際経済の最も中心的かつ緊急的な検討課題になっている。本研究の目的は、ミクロ計量経済学の政策評価分析を用いて、資本自由化と為替制度の経済パフォーマンスへの影響を分析することである。 本研究の3年目では、1996年から2013年の期間の100カ国のクロスカントリーパネルデータを用いて、資本自由化の経済成長率への影響について分析を行った。具体的には、第一に資本自由化のデータとして、Fernandez等(2015)が提供しているデータを用いることにより、①総合的な資本自由化、②資本流入の自由化、③資本流出の自由化とそれぞれの政策ごとの効果を分析した。第二に全サンプル期間を、1期間6年として3期間(1996-2001年の第1期間、2002-2007年の第2期間、2008-2013年の第3期間)に分け、①第1期間から第2期間にかけて資本自由化を行っていた国と行っていない国に分類し、②第2期間から第3期間にかけて資本自由化を行っていた国と行っていない国に分類し、それぞれの経済成長率に差があったのかを分析した。第三に、資本自由化から経済成長率への効果を正確に測るために、Difference-in-differences(DID)法を応用した。DID法を応用する時に政策選択の内生性問題を考慮するため、マッチング法や傾向スコアを用いた手法も行なった。 分析結果によれば、①世界的に景気が良い時に資本自由化を行った場合は、平均的に経済成長率を高めることができたが、②世界的に景気が悪い時に資本自由化を行った場合は、平均的に経済成長率を高めることはできなかった。このような研究結果を得たが、論文は未刊行なので、アカデミック・ジャーナルに掲載されるように努力する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
3年目の研究計画は、実証分析を遂行した後、その研究の論文を作成し、論文をセミナーや学会で発表し、アカデミック・ジャーナルに投稿することであった。しかし、実証分析の遂行の過程でデータ処理の間違いに気付き、慎重を期すために改めてはじめからデータセットを構築し分析を行なったため、思いのほか時間が掛り、計画の遅延が生じた。そこで、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長の手続きを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では、今までの研究成果を踏まえた論文をセミナーや学会で発表し、アカデミック・ジャーナルに投稿し、掲載されるように努力する。また、資本自由化(資本規制)を考慮した為替制度と財政規律の関係についても研究を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
3年目の研究計画では、論文作成、研究成果の発表を予定していたが、実証分析の遂行の過程でデータ処理の間違いに気付き、慎重を期すために改めてはじめからデータセットを構築し分析を行なったため、思いのほか時間が掛り、計画の遅延が生じた。そこで、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長の手続きを行い承認された。よって、3年目の計画で行なう予定であった上記の計画を本年度に行なうことになったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出張費、論文校閲費、論文投稿費等として使用する。
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