2015 Fiscal Year Research-status Report
老舗企業における事業コンテクストの置換とそのプロセスに関する研究
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26380464
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥居 正樹 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (20363260)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 事業コンテクスト / 事業定義 / 老舗企業 / 事業継承 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、市場構造の変化に立ち後れた老舗の製造企業が、自社技術を従前とは異なる事業領域へ転換することによって再び成長を遂げる事例に焦点をあてながら、技術に対する事業コンテクストの置換という観点からその成長要因とメカニズムを解明することを目指している。平成27年度は「老舗企業における多角化と事業コンテクストとの関係性の把握」と「欧州の老舗企業の事例研究」を研究課題とする。これまでの研究から明らかとなったのは以下の2点である。 第1に、企業の持続的成長には事業変化に対する事業定義の再定義の重要性は指摘されるが、その方法論、特に既存の事業定義との関係性を考慮した方法論に関する議論は深められていない。これは、人は物事の理解において「既に理解されたものと関係づけることで、統一的全体的をつくる基底がある(坂原、2007)」ためと考えられ、事業定義の再定義には、この基底を意図的に操作する手段を検討することが必要であることが明らかとなった。ここでの操作とは技術の価値解釈を意図的に変えることなのだが、それはコンテクストの範囲を変えることに他ならない。それには2つのパターンが存在するのだが、それは①既存技術を異なる事業領域に当てはめて直接的に代替えする、②技術が生み出す効果・効能に立ち戻り、その効果・効能の産出に技術を特化させることで間接的に事業領域を代替えする、で説明されることが明らかとなった。 第2に、欧州の老舗企業の事例研究として、フランスのワイナリー企業を対象に事業再定義の調査を行った。この調査では、対象としたワイナリーの多くは格式を重んじ、ワイン生産以外の事業拡大には消極的であることが明らかとなった。その中でブドウのポリフェノールの効能に着目して化粧品事業に進出したワイナリーでは、事業主が新規参入者であり、業界規範との関係づけが希薄だったことが進出要因の一つであることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に実施した語用論および認知科学に関する文献調査によって言語表現の意味を援用した技術の価値解釈モデルが立案でき、事業定義の先行研究ならびに国内企業の事例調査およびフランス・ボルドー地区ワイナリーへのインタビュー調査により、事業コンテクストの置換とその要因がおおむね把握できた。今後はこの知見を生かしつつ、欧州企業の部品製造企業に関する比較を行う予定であり、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は機械加工技術を持つ老舗企業の多角化と事業コンテクストの変遷に関する調査と事業コンテクスト置換の誘発要因について検討を進める。これにより対象業種を拡大し、事業コンテクストの置換プロセスにおける類似性および差異性の解明に取り組む。
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Research Products
(2 results)