2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380502
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 吉正 名古屋大学, 学術研究・産学官連携推進本部, 教授 (80710392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄場 公規 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (80313039)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 知的財産戦略 / イノベーション / イノベーションの専有可能性 / 企業アライアンス / 必須特許 / 標準化 / 標準必須特許 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、インクジェットプリンタにおける暗黙の知的財産同盟を軸に研究を進め、計画以上の成果を収めた。すなわち、1)キヤノン、エプソン、HPの3社が必須特許に関して同盟関係にあったことを、特許調査、異議申し立ての経緯の調査により検証することができた。2)同盟3社以外の同業の10社が市場参入を目論んだことを、特許出願件数、発明者数の調査から強く推定されることを示した。3)暗黙の知的財産同盟が継続した要因を考察し、主な要因が、必須特許の継続的出願、大量出願により3社以外の必須特許取得を抑制した ことを解明した。 以上の研究成果をもとに、次の国際会議で発表した。PICMET2014, CINet2014。それぞれの会議のセッション参加者からは高い評価を受けた。 DVDドライブの暗黙の知的財産同盟に関する研究に着手し、次の研究方針を定めた。1)暗黙の知財同盟の特性と効果を明確にするためにDVDドライブとDVDプレーヤーのを対比して事例研究する。2)DVDプレーヤーでは、特許による専有可能性が達成できなかった理由を示す。以上を解明するための基礎的データの収集・分析を開始し、DVDプレーヤー、DVDドライブの企業別市場シェアの推移データの収集を開始した。 第三の事例に想定している白色LEDの基礎データの収集を一部開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は本研究の初年度であるが、当初計画かそれ以上の進展がみられた。 1.暗黙の知的財産同盟 :H26年度の計画としたインクジェットプリンタについて、事例研究をほぼ完了し、暗黙の知的財産同盟によってイノベーションの専有可能性が達成されたことを検証した。これれをもとに、国際会議での発表、論文投稿までおこなった。さらに、H27年度に予定していたDVDドライブに関しても事例研究に必要な特許データ、製品市場データを収集し、事例研究の大半を完了することができた。 2.企業境界:インテルの訴訟履歴を調査して、インテルが他社牽制に用いた特許を把握することができた。これによりインテルの事例研究を行う基礎的な条件がそろった。また、企業境界に関する基本文献の抽出を行い、従来研究の基本的把握ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初策定した研究計画にそって、今後も研究を進めることで、所定の成果を収めることができると考える。ただし、研究の進展により、本研究テーマは掘り下げるべき課題が多いことが判明してきたので、その対応を講ずる必要がある。 1.暗黙の知的財産同盟という知的財産戦略が汎用的なものであることの実証を求める声が、国際会議や論文査読者から聞かれた。インクジェット、DVDドライブに加え、白色LEDの事例の本格的な研究が求められる。 2.DVDドライブの事例研究は、DVDプレーヤーと対比して行うことが望まれる。それは、ドライブでは専有可能性に成功し、プレーヤーでは成功しなかった経緯から、両者の違いに対する関心がた開からである。 3.企業境界の先行研究の確認 :企業境界は長い研究の歴史があり、それとの対比が不可欠である。
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Causes of Carryover |
企業境界と特許力の関係の研究に着手して訴訟に用いた特許などの基礎的なデータ収集を進めた。しかし、その後、企業境界の従来研究の調査が必要であることが判明し、データ収集の作業を後倒しとした。このために、予算執行の時期がシフトしたが、次年度にまとめて執行する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は、中間の年度であり、前年度からシフトさせた企業境界の研究に必要な特許などの調査をふくめ、調査・分析をを活発に行う。このため、前年度分も含めて、予算を活用する。
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