2017 Fiscal Year Research-status Report
イノベーション確率最大化基準にもとづくイノベーション戦略・組織の抜本的再検討
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26380506
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原田 勉 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (20294192)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ニューケインジアンDSGEモデル / 内生的イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究課題は、前年度に構築したイノベーション構造モデルを反映した新たなマクロモデルを構築し、シミュレーション分析、実証分析を行うことであった。この研究課題を受けて、本年度は、現在、マクロ経済学で主流になっているニューケインジアンDSGEモデルに内生的イノベーションを導入した統合モデルの構築を行った。そして、このモデルに対してシミュレーション分析を試み、金利や消費、生産、投資などの多様なマクロ経済変数と内生的イノベーションとの相互関係性について数値解析的に明らかにすることができた。これはわれわれの知る限り新しい試みであり、その成果は、Economics of Innovation and New Technologyに査読論文として受理され、今年度後半に掲載された(Harada, 2018)。 しかしながら、この論文では、数値解析は事前にパラメーターの数値を設定するカリブレーションにもとづいており、実証データを用いたパラメーターの推計は試みていなかった。そこで、日本経済のマクロデータについてデータ収集作業を進め、データセットの構築を行った。このデータを活用して内生的イノベーションを取り込んだニューケインジアンDSGEモデルの主要パラメーターについてベイズ推計し、そのうえでイノベーションとマクロ諸変数との関係性について定量的に評価する作業を行った。また、この作業と並行して、破壊的イノベーション、持続的イノベーションというイノベーション類型を導入し、それがマクロ経済にどのようなインプリケーションをもつのかについても評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の課題は、前年度に構築したイノベーションモデルについて、主流派マクロ経済学の標準的なモデルと統合し、そのうえでイノベーションとマクロ諸変数との関係性をシミュレーションや実証分析を通じて明らかにすることであった。この研究成果は、海外の学術誌に短期間で受理され掲載されることになった。1年という短期間でこのような成果が得られたのは計画以上であったと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に構築したマクロモデルを用いて実証分析をさらに進めていき、定量的にイノベーションとマクロ諸変数との関係性について明らかにしていく予定である。また、次年度は本研究プロジェクトの最終年に該当するため、この課題を論文としてまとめるとともに、いままでの研究成果について学術書として出版する計画である。
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Causes of Carryover |
(理由) 東京への出張日程が当初は3泊4日であったのに対し、予想よりも早く作業が済んだために2泊3日で繰り上げることになった。そのため、1日分の出張費用が余ることになった。 (使用計画) 次年度で14,600円が加算されても予算計画が大きく変更されることはない。当初の計画通り進める予定である。
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