2017 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on management of international specialization in the transitional phase
Project/Area Number |
26380513
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
森本 博行 首都大学東京, 社会科学研究科, 客員教授 (90404954)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際分業行動 / アウトソーシング / フラグメンテーション / 生産委託 / 分散生産 / 複写機・プリンター産業 / 自動車産業 / 英国のEU離脱 |
Outline of Annual Research Achievements |
技術革新が絶え間なく、しかも急速に行われる一方、製品設計や製造の受託企業の出現、情報通信や交通・物流インフラの発達によって、グローバルな生産体制が著しい変化を見せる国際分業行動移行期にある。本研究の目的は、アジアにおいては日系複写機・プリンタ企業、欧州においては日系自動車企業を事例にして、分散生産の要因と国際経営管理の変化を検討することにある。アジアでは2008年の中国の外資優遇政策の廃止、2010年に中国ASEAN自由貿易協定の発効を契機として、珠江デルタにおいて一気通貫の産業集積を形成してきた複写機・プリンタ企業はASEANでの分散生産に移行した。また欧州においては当初英国に進出した日系自動車企業は、エンジンやトランスミッションなどの基幹部品を旧東欧地域やトルコに分散生産を進めてきたが、英国のEU離脱を契機として自動車産業の分散生産の問題が顕在化した。 複写機・プリンタ企業で加速度的に分散生産が行われた要因は、第一に市場における競合企業の脅威と戦略転換、第二に新生産国の誘因となる制度構築、第三に既生産国における経済発展に伴う産業政策の変更にあった。また欧州におけるEU統合後の自動車産業の分散生産も同様に、第一に米国自動車企業による欧州自動車企業の買収・再編、EUに進出した日系企業や韓国企業への脅威と戦略の強化、第二にEUの拡大に伴う旧東欧諸国や関税同盟のトルコなどの経済特区やインセンティブの付与、第三にポンド高ユーロ安の為替変動の経済状況にあてはめて説明することができた。 英国のEU離脱後の課題として部品の購買調達や通関手続などのサプライチェーンだけでなく、資金移動、従業員の雇用、自動車の型式認証、特許、クレジット販売での金融パスポートなど広い範囲で課題が抽出できた。その対応策についても企業に対する聞き取り調査によってまとめた。
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