2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of Creation of Japanese-Style Startups: Open innovation & Maker's revolution
Project/Area Number |
26380525
|
Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
長山 宗広 駒澤大学, 経済学部, 教授 (80453562)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | メイカーズ革命 / アントレプレナーシップ / イノベーション・エコシステム / 地域プラットフォーム / 移住起業家 / クラウドファンディング / 地方創生 / 中山間地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「メイカーズ革命」(アンダーソン2012)により、日本の製造業の創業は増えていくか、という問題意識から出発した。製造業の経営は、これまで生産手段を保有する企業のみの特権であった。ただ、近年、3Dプリンターなどデジタルツールの登場により、「個人」による製造業(メイカー)が成り立つ時代となった。しかしながら、日本の場合、労働・技術・金融の各領域における国民的制度の制約があって、起業活動(アントレプレナーシップ)は活発でない。アメリカ発のメイカーズ革命の議論のように、「量産化の壁」さえ乗り越えれば、容易に創業してベンチャー企業へと成長できる訳ではない。 本研究では、日本の大都市圏と中山間地域におけるメイカーの実態を調査した。また、メイカーの聖地とされる中国(深セン)の実態を調査して比較分析した。その結果、日本の場合、「メイカーズ革命」によって、中山間地域における製造業の創業が増えることを見通した。それは、ベンチャービジネスの創業ではなく、成長性の低いハンドメイド・クラフト型のマイクロ製造業の創業である。中山間地域の中でも移住者の受入れに寛容な農村・集落において、マイクロ製造業の創業(移住起業家)が増えて集積する見通しを示した。その担い手は、職人やフリーランス的人材であり、日本型労働市場の制度的制約を受けにくい。また、農業・林業などの副業を持つことで、ローリスク・ローリターン型の創業を実現できる。こうした事実を天竜区春野町などで発見した。 以上のように、本研究では、アメリカ発の「メイカーズ革命」を批判的に検討し、「メイカー」の用語を再定義したうえで、日本の国民的制度の制約を踏まえた個人製造業(メイカー)の創業モデルの一端を示した。「地方創生」や「働き方改革」の政策的含意を与える。 2017年度は、こうした日本と中国のメイカーズに関する研究成果について、学会などで公表した。
|
Research Products
(1 results)