2014 Fiscal Year Research-status Report
ママさん起業家をいかに創発すべきか - 女性起業を促進する環境と教育 -
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26380546
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
加藤 敦 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00329963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 えり子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (20288608)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文献調査 / 面接調査 / 地域プラットフォーム / リーダーシップ発揮体験 / ハビトゥス |
Outline of Annual Research Achievements |
ママさん起業家・女性起業家の卵を生み出す自己投資を促す場として、学校や職場、家庭。地域社会などの環境はどうあるべきだろうか。また孵化したばかり起業家を育む事業の環境はどうあるべきだろうか。本研究は、こうした問題意識に立ち、学際的な立場から研究代表者(経営学)と分担研究者(比較国際教育学・ジェンダー研究)が連携をとって進めている。 平成26年度には、ママさん起業に関する国内外の文献調査を行い、理論仮説を再検討し、これを踏まえ関西地区における女性起業家20名の面接調査を実施した。 第1に文献調査を進め、討論を重ね、実施計画で想定した理論仮説、研究方法を再構築した。すなわち当初想定した「地域プラットフォーム」「リーダーシップ発揮体験」に、生育環境から自然に獲得される「ハビトゥス」を加えた3つのキーワードが我が国女性の起業家精神発現に重要な役割を果たすと考えた。というのは企業家精神の国際比較調査において、起業機会の追求、起業家の評価、起業失敗への怖れなど、個人の意識につながる課題が、我が国に対し提起されており、これを克服するためには生育環境の検討が欠かせないと判断したからである。これらの検討には面接調査が適しているため、平成26年度は原計画で予定した一般女性を対象としたインターネット調査に代え女性起業家面接調査を行った。 第2に上記方針にもとづき関西地区の女性起業家20人を対象として面接調査を行い、家族の影響や生育環境、教育体験、就業経験などを聞き取り調査し、「ハビトゥス」「地域プラットフォーム」「リーダーシップ発揮体験」というキーワードを中心に分析した。また女性起業家の総数が限られる中で多くのサンプルを得るため、ママさんに限らず女性起業家全案を扱うことにした。ただし女性起業家全体を調査対象とする中で、子育て中・子育て後の女性を取り巻く環境の特殊性を明らかにするよう努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査を踏まえ両共同研究者が経営学と教育学・女性学という立場から討論を重ね、研究の前提となる理論仮説を再構築した。すなわち「地域プラットフォーム」、「リーダーシップ発揮体験」に加え、生育環境から自然に獲得される「ハビトゥス」が我が国女性にとり起業家精神の発現に重要な役割を果たしているとの仮説を構築した。 包括的な検討のため関西地区の女性起業家20名に対して面接調査を実施した。実施にあたっては多様な生育環境、就業体験、起業分野が含まれるように努めた。 文献調査並びに面接調査を踏まえ、ハビトゥス・人的資源論及びリーダーシップ論という複数の視座から分析し、それぞれ国際学会発表を経て論文化することに着手した。うちハビトゥス・人的資源論の観点からママさん起業家3名の事例を取り上げ発表1件が採択されている。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査を踏まえ「地域プラットフォーム」「リーダーシップ発揮体験」「ハビトゥス」が我が国女性にとり起業家精神の発現に重要な役割を果たしているという理論仮説にもとづき、女性起業家の調査並びに女性向け起業プログラムについて調査研究に努める。 第1に女性起業家に対する面接調査をより精力的に推進する。面接調査は包括的な第一次調査と、より詳細な第二次調査に分ける。第一次調査では、できるだけ多くのサンプルをえるため、ママさんに限らず女性起業家全般を扱い、分野も絞らない。この調査で女性起業家が抱える課題を多角度から検討できるようにする。第二次調査では第一次調査で取り上げた事例の中から、起業分野並びに研究テーマを絞って深掘りする。このとき子育て関連サービス並びにNPO起業など、先行研究からママさん起業家が取り組みやすいとされる起業分野を重点的に取り上げる。こうした二段階の面接調査に取り組むことで、起業家の卵にとり自己投資の場であり、孵化した起業家にとって事業の場である「地域社会プラットフォーム」の在り方にまで迫ってゆく。 第2に内外高等教育機関の女性向け起業プログラムの調査を行う。経済産業省「平成21年度産学連携人材育成事業報告書」によると、起業家教育の浸透は進んでいるものの、日本で起業家教育を受けている大学生は0.7%に過ぎず、特に女子大学・女子短大でこうした講座を設けているところ少ない。本研究では参考とすべき内外高等教育機関の女性向け起業プログラムを調査し、我が国の女子大学・女子短大にあった実効性の高い起業プログラムを検討する。
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Causes of Carryover |
一般女性を対象としたインターネット調査に代え女性起業家20名に対する面接調査を実施したため。 文献調査を踏まえ討論を重ねた結果、研究実施計画で想定した理論仮説を再構築し研究方法を見直すこととした。すなわち当初想定した「地域プラットフォーム」「リーダーシップ発揮体験」に、生育環境から自然に獲得される「ハビトゥス」を加えた3つのキーワードが我が国女性の起業家精神発現に重要な役割を果たしている、という仮説を立案した。これらを検討するには、質問調査よりも面接調査が適しているため、原計画で予定していた一般女性を対象としたインターネット調査に代え、平成26年度は関西地区の女性起業家20名に対する面接調査した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
International Council for Small Business (ICSB)世界大会2015(6月6-9日, Dubai, UAE)の参加費用に充てたい。 ICSBはベンチャー・起業に関する最大級の国際学会であり、世界大会では本大会に先立ちICSB Women's Entrepreneurship Committee (WEC) Forumが開かれ、世界中から女性起業家の研究者が集結する。代表者と共同研究者は学会発表を通じ研究者からの相互評価を得るとともに起業家教育関係者・女性起業家研究者との交流に努める。
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Research Products
(1 results)