2015 Fiscal Year Research-status Report
安心と豊かさを実現する食品PB戦略の日英米比較研究
Project/Area Number |
26380583
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
陶山 計介 関西大学, 商学部, 教授 (40154629)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | PB / NB / 食の安心と豊かさ / ブランド戦略 / コミュニティ / 小売店舗 / コミュニケーション / 日米欧 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度前半期には、食の安全・安心、食購買行動、NB・PBシェアの動態、小売店舗選択行動などに関連する国内外の先行研究のレビュー、前年行なった日本での調査をふまえながら小売企業や食品メーカーなどへのヒアリングを行うとともに、引き続きアメリカFMI(食品マーケティング協会)のトレードショーやシカゴ、サンフランシスコの最新の小売事情について視察を実施した。 そうした理論研究や実態調査をふまえて、日英米のPBロイヤルティ構築モデルの国際比較による日本のPB戦略の規定要因を探るため、日米欧のNB・PBの関係構造の比較モデルを策定した。日英米のデータをイメージごとで因子分析を行う。そこで抽出された各イメージに対する因子を日英米の共通の因子とする。その共通の因子に合わせて、日英米それぞれで企業・製品・店舗イメージから因子を抽出する。相互作用項として文化要因をそれぞれの因子へ投入する。次にPBロイヤルティを主成分分析で導き出し、企業・製品・店舗のそれぞれの因子とPBロイヤルティとで共分散構造分析を行う。文化要因もを相互作用項にいれたそれぞれの因子のロイヤルティに対する影響の数値の強弱を観察し、日本がPBシェアを伸張させてきた影響要因を探ることにした。 その上で英米の調査を行なった。GFKカスタムリサーチ・ジャパンに調査を委託し、有効サンプルは774名、調査期間は8月7日~18日、インターネット調査、対象商品はアイスクリームとポテトチップスである。今回は日英比較を行い、①日英両国において企業・製品・店舗イメージが互いに相関をしている、②日英両国において、企業・製品・店舗イメージはPBロイヤルティに正の影響を与える、③イギリスと比べ日本では、「地元に密着した会社である」ということが企業イメージに対し高い正の影響を与える。などの仮説にもとづいて統計的な解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由-当初の研究計画によると、平成27年度は、日本調査の応用解析を進めるとともに、英米両国でも消費者調査を実施し、その基礎解析を行う、とあった。まず日英米のPBロイヤルティ構築の国際比較モデルを一部修正しながら再構築できた。その上で英米の調査を通じて、①PBロイヤルティと企業・製品・店舗イメージの直接的関係を探る研究を初めて行ったこと、②企業・製品・店舗イメージの構成要素は日本とイギリスで影響度の違いがあることを明らかにしたこと、2点の成果を上げることができた。具体的には、従来の日英のPBシェアに関する研究とは異なり、イギリスの成功要因の1つとして捉えていた「種類の豊富さ」というものが日本のPB戦略にとってより重要な要因になっていることや日本が強固なPBロイヤルティを構築するには、地元密着や種類の豊富さを重視するという日本の特性とネット配達の浸透というイギリスの強みを考慮した戦略が有効であることが導出され多くの学術的な貢献が得られた。以上がおおむね順調に進展していると自己評価する理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、一連の消費者調査結果をスクリーニングした後、食品PB/NBの選択行動を軸に調査データの解析作業を多段階的に実施する。そして解析結果を理論モデルと照合しながら、国・地域別の消費者購買行動、とくにブランド・店舗選択に対する共通性や差異性をはじめとする関連項目、メーカーや小売業の「適応」行動に関する因果構造の国際比較を行い、これらの成果を学会や各種ジャーナルで発表する予定である。 まず過年度のものも含めて一連の消費者調査結果をスクリーニングした後、解析作業を多段階的に実施する。そして解析結果を当初設定した理論モデルと照合しながら、国・地域別の消費者購買行動、特にブランド・店舗選択に対する共通性や差異性をはじめとする関連事実、それとメーカーや小売業の「適応」行動との因果構造に関する理解を得る。各国で集めた消費者データについてもこの過程で同じく英米各国の共同研究者と理論スキーム、調査結果とその解釈についてアドバイスを受ける予定である。それらをふまえて安心と豊かさを求める消費者によるブランドおよびチャネル・小売店舗選択、広告コミュニケーション効果、NB及びPBに関する顧客ロイヤルティ構造、チャネルをめぐるメーカー間、小売業者間、および両者間の競争・協調関係などに関する国際比較分析の実証結果を整理・集約する。 ここでは日英米3ヵ国の業界特性、製品特性、流通システム特性、さらに歴史、経済、文化、社会などに関する考察を通じて、当初設定した理論枠組みや仮説の検証、修正も行い、上記テーマに関する新しい理論的・実践的な知見を得る。 これらの成果を日本商業学会、AMA、AMS、EAERCDなど国内外の学会で研究成果を発表し、各種ジャーナルに投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初予定した調査費が調査会社の努力により少なくなった。それを他の費目に振り返るように試みたが、結果的に支出減になり次年度繰越となってしまった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の未使用額と平成28年度の配分額をあわせて、購入予定である図書や学会出張・調査研究旅費などに支出する予定である。
|
Research Products
(3 results)