2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380597
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
衣川 修平 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (40400585)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 税効果会計 / 繰延税金 / 保守主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は大別して,歴史分析,基準分析,それを踏まえてのモデル化と三つのパートに分けて,行った。 歴史分析:税効果会計の論争史を保守主義の観点から振り返った。歴史上,実務家と理論家は,おおむね保守主義的な計上制限を試みようとしていることが明らかになった。特に実務上,経験主義的にこのような処理が試みられ支持されてきた論拠を示した。また理論家による規範的理論がこのような処理を支持していたことを確認した。さらに,70年代以降における実証的研究においてもこのような処理が株価と連関し,さらにはその後価値関連性を有することが示されていることを確認した。 基準分析:税効果会計の各国今昔の基準ないし実務指針において,保守主義的処理を確認しようと試みた。そして資産負債法下における保守主義的な会計処理について,各国の比較を試みた。 モデル化:上記を基に,税効果会計の保守主義的処理モデルを記述することを試みた。ここにおいて税効果会計の保守主義的処理は,段階を踏んだ特徴のあるものであることが分かった。ただしこれらの分析において,実務は複雑であり,判断を留保したものも多少あった。またそもそも保守主義と一言で言っても,様々な種類がある。また税効果会計における保守主義的処理がみられる場合,正しくどのような目的を意図したものかが明らかにならず,課題として残った。ただし保守主義的会計処理は,これ自体大きな研究テーマであるため,ある程度の単純化を行ったうえで,これらの課題を次年度において詳しく検討してゆくものとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学運営業務と体調の不調によりやや遅れている。ただしすでに投稿済みの論文もあり,次年度の論文発行でこの遅れはリカバリーされる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であり,論文による成果報告を優先させる。論文がある程度まとまったところで,学内外の研究会で報告し,精緻化を行う。そして論文公表と,学会報告を行い,成果を公にするものとする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は19,819円と極めて少額であり,おおむね計画通りに予算は執行されたと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料購入ないし,研究会・学会への出張費として執行する予定である。なお主要な本,雑誌などの資料収集はすでに終了しているため,追加的な資料収集が必要ないと判明した場合は,出張費を優先したい。
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Research Products
(2 results)