2016 Fiscal Year Research-status Report
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26380597
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
衣川 修平 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (40400585)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 税効果会計 / 繰延税金 / 保守主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究活動は以下の通り,歴史・制度研究と,ヒアリング・文献研究に大別される。 歴史・制度研究:税効果会計の論争史を通して,繰延税金の計上制限を主張する実務・学会の傾向が,保守主義的な処理を含んだ,会計基準の設定につながったことを明らかにした。これらの保守主義的な繰延税金の処理は,主に資産負債法の下での会計基準で観察されるものであるのは,前年の研究で確認した。しかし本年度の研究によれば,保守主義的な会計処理が観察されないと考えられる繰延法の下での基準でも,会計基準とその基準が依拠した理論的研究とを比較すると,保守主義的な傾向がみられることを明らかにした。 ヒアリング・文献研究:また10月以降には,日本の繰延税金資産の保守主義的会計処理について,文献収集を行い,複数の公認会計士や証券アナリストなどの市場関係者からヒアリング調査を行った。ヒアリング調査はまだ十分とは言えないので,追加的に調査を行うものとする。さらに前年度から引き続き,保守主義的な繰延税金の計上について,市場がどのような評価を行っているか,実証研究の文献収集とその読解に努めた。これらの調査が反映された論文の公表を準備しているところである。 また最後に保守主義的会計処理について,将来の不確定さ,不安,信頼性と言ったタームを鍵に,心理学,社会学の文献の収集と読解に努めた。心理学や社会学のアプローチに全面的に基づき,保守主義的会計を論じるのは,この研究の範疇を大きく超えるものであるが,その考察の一部を公表予定の論文に反映させる予定である。 なお論文のうち1本はすでに投稿,掲載許可が下りている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒアリングの設定がうまくいかず,その前準備にも時間がかかり,遅れが出た。また内臓疾患と,膨大な公的書類の作成に追われ若干の遅れがあるが,次年度にリカバリーする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会報告,学会報告を行いつつ,研究内容を改良し,論文公表に努めるものとする。 また随時研究協力者の意見や指導を受け,研究成果の公表につなげるものとする。
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Causes of Carryover |
研究の遅れから,年度途中で計画を修正し,次年度の基金の繰越しを企図したためである。次年度は業務等に余裕があるため,研究遂行がより可能であると判断したことも理由の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文献収集や,学会や研究会への出席に研究費を主に充てるものとする。
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Research Products
(1 results)