2017 Fiscal Year Annual Research Report
Accounting Conservatism in Tax Effect Accounting
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26380597
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
衣川 修平 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (40400585)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 税効果会計 / 繰延税金 / 回収可能性 / 保守主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
税効果会計の保守主義的処理について理論的整理に努めた。 繰延法(deferred method)が採用された場合は,対応・配分のコア概念を重要視するため,対応から外れたものは貸借対照表に全額繰り延べられ,保守主義的処理が介在する余地はない。一方,資産負債法(asset and liability method)が採用された場合は,貸借対照表上の資産負債性が重要視されることから,解消可能な繰延税金を測定しなければならない。しかしこの解消可能性は,将来の十分な課税所得の獲得といった将来予測に依拠することから,測定の信頼性に問題がある。 このような測定の信頼性に対しては,事前的な対応と事後的な対応が考えられる。後者の事後的な対応の一例は,市場の規律によるものが代表的である。過大な繰延税金を計上した企業は,事後的に市場からの退出と言った制裁が科されることから,このような企業の数は提言していくはずであるというのが,市場の規律を重視する論者の考えである。しかし周知の通り,日本において税効果会計が早期導入された1999年3月期決算において,主に銀行が貸倒引当金にかかる繰延税金資産を過大計上し,大手17行では資本の部(当時)の約29%を占めるに至った。このことから,このような市場の規律の機能には疑義が持たれることとなった。一方の事前の対応の一例は,測定段階において,繰延税金を保守的に見積もるという会計処理が挙げられよう。本研究では,(たとえば,会計情報に下方バイアスをかける等と)理論的に数多く批判されてきた保守主義的会計処理が,日本及び各国の基準に観察され,機能していることを示した。
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Research Products
(1 results)