2014 Fiscal Year Research-status Report
利害調整機能と情報提供機能の数理モデル分析:連単の関係はどうあるべきか
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26380605
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加井 久雄 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10303108)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 連単分離 / IFRS / 国際会計基準 / 利害調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,会社法会計と金融商品取引法会計の一元化の妥当性をエージェンシー理論(契約理論)を使って再検討することを目的としている。財務会計の利害調整機能は株主や投資家への情報提供機能に包含されるものではなく,二つの機能は異なる内容を持つことを数理的に分析する。 平成26年度は,まず,財務会計の利害調整機能として経営者と株主の利害調整に着目した。そこで,連結集団が親会社と子会社一社からなる状況を仮定し,親会社と子会社の単体の財務情報を統合する比率を分析し,経営者と株主の利害調整の観点から望ましい統合比率は,投資家への情報提供の観点から望ましい統合比率とは異なることを明らかにした。第二に,近年,国際会計研究の分野では株式投資者よりも債券投資者の方に注目する傾向にあることから,関連する数理モデル研究を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では,平成26年度に既存の制度研究の調査を予定し,平成27年度以降に既存の制度研究をエージェンシー理論から整理・再解釈することを予定していた。実際には,平成26年度に既存の制度研究に必要な文献調査を終了し,平成27年度以降に予定していた内容にも取り組み,一定の成果を挙げることができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も概ね申請時の計画どおりに研究を推進する予定である。つまり,(1) 既存の財務報告制度に関する研究をエージェンシー理論(契約理論)から整理・再解釈する。(2) 数理モデルの開発とエージェンシー理論の頑健性の確認をする。(3) 独自に開発した数理モデルを利用して財務報告制度における連単関係のあるべき関係を解明する。適宜,研究成果を研究会や学会で報告し,論文を公表していく。
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Causes of Carryover |
当初の使用計画と実際の使用に多少の差異があったため,次年度使用額が480円生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には3回ほどの学会発表を予定しており,そのための旅費の一部として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)