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2015 Fiscal Year Research-status Report

戦後日本の質的社会調査の系譜とリサーチ・ヘリテージとしての継承可能性の経験的研究

Research Project

Project/Area Number 26380645
Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

小林 多寿子  一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50198793)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 桜井 厚  立教大学, 社会学部, 特定課題研究員 (80153948) [Withdrawn]
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords質的社会調査 / リサーチ・ヘリテージ / アーカイヴ化 / 質的調査データ / 社会調査の系譜
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、戦後日本の社会学で産出された経験社会学的研究の成果をとくに質的社会調査に注目して社会学者自身との関係で捉え直し、質的データ資料が継承されるべきリサーチ・ヘリテージとしていかに適切な保存と有効な活用があるかアーカイヴ構築の可能性探求をめざしている。戦後日本の質的社会調査の系譜研究をふまえて、全研究期間を通して次の3種類の調査を実施する。1)先行するアーカイヴの事例調査―国内外の社会学的および隣接領域のアーカイヴズ、2)社会学者の調査データ資料の現状調査、3)質的社会調査の系譜とアーカイヴ構築の方途と課題の検討。
国内外の社会学的アーカイヴズの事例調査をしながら、1950年代以降、数多くの質的調査の成果を輩出した社会学者の所蔵する調査データ資料をめぐって、社会学者の人生と調査キャリアの関係に着目し、個人史と歴史的文脈を重視した質的調査データ資料の継承を、実際の資料に即して考察する。社会学者自身のライフヒストリーも含めた社会調査のコンテクスト性をふまえた質的調査データ資料のアーカイヴ化の方途を検討し、社会調査データの公共性の認識の広がりに寄与することを目的としている。
平成27年度は、1)英国、米国、ドイツを訪問し、ライフストーリー・アーカイヴや歴史資料の博物館保存、個人史資料の収集と歴史との関係等の実態を学ぶ一方で、国内では愛知県の日本自分史センターや国立広島原爆死没者追悼平和祈念館等の機関を訪問調査し、多様なアーカイヴの実態を理解した。2)平成26年度来、取り組んでいる社会学者森岡清美成城大学名誉教授の所蔵する調査データ資料の包括的渉猟作業を継続した。合わせて森岡氏と共に調査地を再訪し森岡資料群の成り立ちを調査との関連で精査する作業を実施した。3)1930年代1940年代から始まる日本の社会学者による質的調査の実践状況を関連文献の収集と吟味によって系譜を跡づける作業に取り組んだ。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成27年度の研究実施計画では、1)先行するアーカイヴの事例調査―国内外のアーカイヴズ、2)社会学者の調査データ資料の現状調査、3)質的社会調査の系譜とアーカイヴ構築の方途と課題の検討、という3種類の調査を実施することとしていた。全体としてはおおむね順調に進んでいる。とくに、1)の国内外で先行するアーカイヴズの事例調査では英国、米国、ドイツにおいてアーカイヴズ訪問調査や愛知県、広島県、愛媛県において多様な機関で実態調査に取り組んだ。2)の社会学者の調査データ資料の現状調査については、日本の家族社会学・宗教社会学を半世紀以上にわたりリードしてきた森岡清美氏の膨大な調査データ資料を預かり、包括的渉猟作業をおこなった。3)については、日本の社会学における質的調査の系譜を跡づける作業を森岡氏自身と調査地を訪問しながら取り組み、さらに森岡調査資料群のデータ資料の記録化とスキャンニングを通して具体的なアーカイヴ構築の可能性の検討を進めている。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度は、平成26年度・平成27年度の調査を継続し、国内外での事例調査と森岡資料アーカイヴ化の基礎作業を引き続きおこなう予定である。また、研究の最終年度であるので、これまでのまとめに取り組む。森岡資料群を通して、とくに社会学者の<人生>と調査キャリアの関係に着目し、個人史と時代との交差という歴史的文脈を重視した質的調査データ資料の考察とその継承のあり方の検討をおこなう。3種類の調査のうち、3)については、社会調査データの公共性を考慮したアーカイヴ構築は予想以上に時間のかかるものであることが判明したので、森岡資料の調査データ資料のコンテクスト性を明らかにする作業はアーカイヴ化の基礎研究として位置づけ、実際の資料に即して検討する取り組みに重点をおく。

  • Research Products

    (7 results)

All 2016 2015

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) Book (4 results)

  • [Journal Article] 屠場へのまなざし2016

    • Author(s)
      桜井厚
    • Journal Title

      すいへい・東京

      Volume: 45 Pages: 62-80

  • [Journal Article] オーラルヒストリーとジェンダー史―歴史叙述との関連で2015

    • Author(s)
      桜井厚
    • Journal Title

      ジェンダー史学

      Volume: 11 Pages: 43-49

  • [Presentation] 戦後史の経験を語り継ぐ―ライフストーリーから見えてくること2015

    • Author(s)
      桜井厚
    • Organizer
      第13回日本オーラル・ヒストリー学会大会
    • Place of Presentation
      大東文化大学(東京都板橋区)
    • Year and Date
      2015-09-12
  • [Book] ライフストーリー研究に何ができるか2015

    • Author(s)
      桜井厚・石川良子・西倉実季・青山陽子・酒井アルベルト・張嵐・八木良広・矢吹康夫・倉石一郎
    • Total Pages
      259(21-48)
    • Publisher
      新曜社
  • [Book] 歴史と向きあう社会学―資料・表象・経験―2015

    • Author(s)
      野上元・小林多寿子・菊池哲彦・佐藤香・相澤真一・中川宗人・高田知和・香西豊子・佐藤健二・角田隆一・武田俊輔・金子淳・高野光平・佐藤卓己・桜井厚・大出春江・南川文里・飯島幸子・藤村正之
    • Total Pages
      359(227-247、323-348、355-359)
    • Publisher
      ミネルヴァ書房
  • [Book] 日本語教育学としてのライフストーリー―語りを聞き、書くということ2015

    • Author(s)
      三代純平・桜井厚・川上郁雄・河路由佳・谷口すみ子・中山亜紀子・中野千野・佐藤正則・飯野令子・田中里奈
    • Total Pages
      304(77-110)
    • Publisher
      くろしお出版
  • [Book] 誰も知らない屠場の仕事(新装版「屠場文化」)2015

    • Author(s)
      桜井厚・岸衞・田中政明・西義治・三浦耕吉郎・山田孝子
    • Total Pages
      271(3-50、77-146、247-266)
    • Publisher
      創土社

URL: 

Published: 2017-01-06  

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