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2015 Fiscal Year Research-status Report

知の専門分化と公共知識人――ニューヨーク知識社会における知的ネットワーク分析

Research Project

Project/Area Number 26380648
Research InstitutionMorioka College

Principal Investigator

清水 晋作  盛岡大学, 文学部, 准教授 (60374873)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords公共知識人 / 公共社会学 / 社会学史 / 知識社会学 / 冷戦 / ネットワーク / ニューヨーク知識人 / ダニエル・ベル
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、「公共知識人」として今なお高く評価されているニューヨークのユダヤ系知識人たちの知的営為に着目し、知の専門分化に伴う知の細分化という現状を批判的に乗り越えるために、専門知と「公衆」との架橋の可能性を探るものである。そのために以下のとおりに研究を進めた。
ニューヨーク知識社会の中心的人物とみなされてきたダニエル・ベル、アーヴィング・クリストル、ネイサン・グレイザー、アーヴィング・ハウの4人を取り上げた。彼らの著作や回想録を比較検討することを通して、知的ネットワークの形成過程や知識人としての活動などを考察した。特に知的キャリアの初期に焦点をあてた。4人と同世代のニューヨーク知識人たちは、City College of New Yorkに通い、そこで出会うことになる。当時、クリストル、ハウは、学内でトロツキストを形成し、ベルは、社会民主主義者であった。政治的党派は異なるものの、彼らは、知的・政治的討議を続けていた。グレイザーは、Avukah Student Actionという学生グループの機関紙を編集しており、その際、『ニューリーダー』の編集を務めたベルと出会っている。当時から知識人としてのアイデンティティをもった唯一といってよい集団を形成していた。第二次大戦後、冷戦の時代が到来するに伴って、彼らの行ってきたコミュニズムをめぐる言論活動により、アカデミズムおよびジャーナリズムの世界で大きな影響力をもつようになる。また大学・学生数の急激な増加に伴って、大学という制度のなかで活躍していった。
以上のようにニューヨーク知識社会で中心的な役割を担った4人を取り上げ、時代ごとに変遷する思想・理論等を比較検討し、「公共知識人」として知的コミュニティを形成していく過程を明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

公共知識人として評価されるニューヨーク知識人の知的ネットワークの形成過程を分析した。ニューヨーク知識社会の中心人物とみなされてきたダニエル・ベル、アーヴィング・クリストル、ネイサン・グレイザー、アーヴィング・ハウの4人の著作を比較検討し、彼らの紐帯を支える知的アイデンティティ、思想・理論の共通点、相違点を考察することができた。このことによって中心人物の観点からのみではあるが、知識人コミュニティの形成過程を明らかにした。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究において第一にニューヨーク知識人が知的・社会的・政治的影響を強めていった冷戦時代に焦点をあてる。当時の社会的文脈において、彼らの言説がもった意味をポスト冷戦という現在の視座から考察する。その際、特にマッカーシズムに対する分析、言説について比較検討していく。
第二に1960年代の大学紛争・学生反乱をめぐる彼らの思想と行動を考察する。大学が直面していた危機を知識人としてどう捉えていたのかを明らかにする。大学紛争は、その後、ニューヨーク知識人の中から新保守主義者を生むひとつの契機となっており、その点との関連を考察する。
以上の論点を中心にニューヨーク知識人たちの知的ネットワークの内実にアプローチしていく。

Causes of Carryover

近年の知識人論および冷戦史研究の研究状況を把握するために、書籍購入に充てる支出を予定していたが、その時間を確保することができなかったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額は、知識人論および冷戦史研究に関わる先行研究の書籍購入に充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 2015 Other

All Journal Article (2 results) (of which Acknowledgement Compliant: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 公共知識人としてのニューヨーク知識人――ベル、クリストル、グレイザー、ハウの追憶2016

    • Author(s)
      清水晋作
    • Journal Title

      比較文化研究

      Volume: 26号 Pages: 5-22

  • [Journal Article] 最後の知識人 ダニエル・ベル――ベルの知識人論とニューヨーク知識人2015

    • Author(s)
      清水晋作
    • Journal Title

      社会学研究

      Volume: 96号 Pages: 63-82

    • Acknowledgement Compliant
  • [Remarks] 盛岡大学ホームページ

    • URL

      http://www.morioka-u.ac.jp/kyoin/shimizu_shinsaku.php

URL: 

Published: 2017-01-06  

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