2014 Fiscal Year Research-status Report
国家秘密と情報公開の法制度が取材・報道に与えるインパクトに関する総合的検討
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26380699
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
山田 健太 専修大学, 文学部, 教授 (30433858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国家秘密 / 情報公開 / 表現の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画に従い、大きく2つの面から研究を実行した。これらによって、研究対象の制度の基本構造と運用実態、および取材・報道現場の基本的な受け止め方につき理解するとともに、今後の本格的な分析のための基礎的な資料の収集と整理を進めることができた。 1 基礎的な資料の収集 2014年12月に施行された特定秘密保護法及び関連法の法・規則と、実施運用状況の資料の収集にあたった。同法の施行までに整備される予定だった各省庁レベルの秘密保護制度全般は、2015年1月現在においてもいまだ完備されておらず、その環境整備が続いていることから、同作業は次年度においても継続されることになる。 2 具体的事例の収集 国家情報の秘密保護及び情報公開にかかわる具体的事例として、東日本大震災(とりわけ原発事故及び放射能汚染対応)関連の情報と、沖縄(とりわけ米軍基地)関連の情報についての、具体的な取材・報道に与えるインパクトについて、実地調査及びヒアリング等により、資料の収集を行った。これらについても、継続的な資料収集を実施する予定である。 ただし一方で、ヨーロッパ(イギリス・フランス)とアジア(韓国)において海外調査を実施する予定であったが、前者についてはちょうどフランスにおける新聞社襲撃事件と重なり、後者については日朝会談と重なるというアクシデントが発生し、予定の調査が実施できなかったため、前者については継続年度に繰り越すこととし、後者については予定を縮小して実行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体としては順調に研究計画を実行中ではあるものの、予定していた研究計画に遅れが生じている理由は2つある。 1 特定秘密保護法にかかる政府および国会の制度整備が当初の予定より遅れていること。これにともない、必要な情報の開示が遅れ、制度全体の法令の収集・分析が当初予定より半年程度遅れたほか、その実施体制もいまだ確定していない状況が続いており、研究・分析の基礎となるデータが完全に収集しきれていない状況にある。 2 海外調査がアクシデントにより延期・縮小になったこと。上記実績概要で触れたとおり、予定していた海外調査時期の直前に生じた事件により、調査の変更を余儀なくされ、一部は縮小、一部は2015年度の実施とした。 ただし、これらの遅れは2015年度中に取り戻せる見込みであり、全体しては目的達成に向け順調に進んでいるといる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度中においては、取材・報道へのインパクトは主として活字メディア(新聞・出版)を対象に調査・研究を進めてきたところであるが、放送メディアと公権力の関係が大きな社会的な事象としてクローズアップされるなか、放送局(テレビ)も調査・研究対象に含めることとして、今後の研究を進めていくこととしたい。また、2015年度中においても引き続き、中間発表としての刊行物を成果物として示すこととしたい。
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Causes of Carryover |
イギリスへの海外調査が延期となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定のイギリスへの海外調査を2015年8月から9月にかけて実施する。
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Research Products
(8 results)