2015 Fiscal Year Research-status Report
国家秘密と情報公開の法制度が取材・報道に与えるインパクトに関する総合的検討
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26380699
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
山田 健太 専修大学, 文学部, 教授 (30433858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国家秘密 / 情報公開 / 言論の自由 / 表現の自由 / 取材・報道の自由 / 報道倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画に従い、前年度に引き続き大きく3つの面から研究を実行した。これらによって、研究対象の制度の基本構造と運用実態、および取材・報道現場の基本的受け止め方につき理解を深めるとともに、体系的な整理・分析を行った。さらに、研究テーマをより総合的に理解する上では、その周縁を含めた取材・報道の体系的な整理が求められるとの判断から、より研究範囲を広げ、研究・分析を実行することとした。 1.言論法制上の整理・分析:2015年中に全面施行された特定秘密保護法および関連法規、および衆参両院で実施された監視機能の結果の報告書の整理・分析に始まり、日本の秘密保護法制および有事法制の構造分析、さらには言論法体系の資料収集と整理を行った。 2.報道倫理上の整理・分析:上記の法制度研究と並行して、広義の言論法制度ともいえる、取材・報道の自由を支える報道倫理・社会制度についての研究に着手し、資料の収集と整理・分析を行った。 3.具体的事例の収集:秘密保護法制および情報公開にかかわる具体的事例として、前年度に引き続き、東日本大震災および沖縄(基地)関連の情報について、実地調査・ヒアリングと資料の収集を行った。また、海外事情の研究として、初年度に予定していたイギリスに加え、当年度に予定していたアメリカの現地調査を実施した。 こうした研究分析とともに、国連表現の自由特別報告者の来日に合わせ、上記、日本の言論の自由状況のレポートおよび取材・報道の自由の現状と課題に関するコメントを作成、これらをもとにした最終年度に向けた出版物の刊行準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度については、パリ同時多発テロの影響なので、予定していた海外調査を急きょ中止するなどの予定とのずれが生じたが、2年目においてはほぼ研究計画通りの調査・研究を行うことができた。基礎的な資料収集・整理・分析も進み、最終的な報告書(刊行物)の作成に向けて、執筆作業を開始しつつ、そこで生じた疑問や問題点について、追加の調査・研究を実施するという段階に入りつつある。なお、刊行物についても、おおよそ出版社も確定し、全体の構成も含め作業が進捗しつつある状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目においても、秘密保護法制に関しては衆参両院の報告書が提出されたことなどから、適宜、当該研究の成果を発表してきたところではあるが、最終年度においてはより総合的体系的に研究テーマに合わせた最終報告書の作成を進めたい。その関係で、ポーランドもしくはハンガリーへの現地調査を試みたものの、調査対象者の了解が十分に得られず実施に至っていないものの、引き続き実施に向け可能性を探る予定である。また、報告書作成を前に、学会発表などの機会を設けることで、その精度を高めることも合わせて予定している。
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Causes of Carryover |
年度最終月で実施した現地調査の旅費の精算を繰り延べしたことや、購入した資料代の支払いを繰り延べしたことによるものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物理的に年度末の支出であったがための経理上の問題であって、すでに支出済みのものであるので、速やかに実行する予定である。
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Research Products
(7 results)