2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Developmental Pathways of European Cuisines in Japan and the Labour Histories of Restaurant Workers
Project/Area Number |
26380700
|
Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
澤口 恵一 大正大学, 心理社会学部, 教授 (50338597)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 国際移動 / ゲストワーカー / キャリア構造 / 移民 / 労働 / 組織フィールド / イタリア / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の研究課題のひとつは3カ国のレストランワーカーのキャリア構造をその時間的な変化とともに比較検討することにあった。そのため2010年からフィールドとしていがこの5年間訪問していなかった、イタリア北部の最新動向を把握するために、9月にピエモンテ州やトスカーナ州に訪問し長年就業していたインフォーマントへのインタビューを行った。同時に、変化がめまぐるしいパリの動向を把握するため、そしてこれまで訪問していなかったボルドーの視察・インタビューを実施するため、2月にフランスを訪問した。
イタリアでは日本人コックの数が減少しており、その存在感や現地の経営者層から労働力としての期待が薄れつつあることが確認できた。長期就業者には自営業層への上昇移動者もわずかに出現しているが、フランスに比べて絶対数は乏しい。近年和食の調理統括者として雇用される料理人や高級食材を輸出する事業に携わる長期滞在者も現れている。しかしフランスに比べるとイタリアにおける日本人の自営業層への上昇移動は乏しい。フランスではパリを中心に日本人シェフがレストランを開業する事例が飛躍的に増えている実態が確認できた。和食店や日本資本のレストランがフランスに出店する事例も増えている。その背景にあるのは現地で開業を支援するための同業者のサポートネットワークが機能していること、開業に必要となる知識や人材を提供するための専門家(不動産紹介、弁護士・税理士の紹介)の存在である。
あらたに訪問したボルドーでは、日本人経営のフランス料理店が数店舗存在し、従来の地域とは異なる滞在動機(地元への愛着、欧州的な生活を好む)をもった日本人シェフがいること、現地のフランス人、中国人経営者層とのネットワークを活かしながら長期にわたり現地での就労をしている実態が明らかになった。以上のほか、これまで収集した資料やインタビューデータの分析を行い考察をした。
|
-
[Book] Food,Power , and Agency2017
Author(s)
Lonard Schmieding , Rossella Ceccarini ,Keiichi Sawaguchi, Christoph Ribbat , Bryant Simon, Nina Mackert, Jurgen Martschukat, Eva Barlosius, Jernej Mlekuz
Total Pages
216
Publisher
Bloomsbury
ISBN
978-1350089587