2017 Fiscal Year Annual Research Report
Promoting the youth volunteer activism in the field of international cooperation
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26380712
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
高橋 華生子 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任講師 (80507905)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際協力 / ボランティア / SDGs / 官民連携 / シンガポール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、対象事業であるシンガポールの「ユース・エクスペディション・プログラム(YEP)」を参照しながら、ボランティアにかかる政策的な取り組みを精査することに加えて、現代的な開発の流れを組み込むことに注力した。その新たな論点とは、2015年の国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向けて、ボランティアの意義と役割をどのように位置づけていくのか、という問いである。そのため、本年度はSDGsとボランティアに関連する学会での発表やシンポジウムへの参加に努めたが、そこから見えてきた争点とは、効果を示す重要性の高まりである。SDGsは前掲のミレニアム開発目標と同様に、インディケーターと呼ばれる数値目標を設けていることに特徴がある。これをボランティア事業に適用させると、参加者の増加といった「成果」は表されているが、事業の「効果」については質的な側面の記述が多く、効果の量的分析が進んでいるとは言い難い。つまり、事業そのものの単純な成果と、事業がもたらしうる効果を分けて考える必要があるわけだが、SDGsを進める過程において、ボランティアといった市民活動の効果を政策的に数値化すべきなのかは、慎重な議論と考察が求められる。
上述のSDGsの下で、ボランティア事業は国家のグローバル化戦略として発展していく可能性が見込まれる。その理由としては、国民国家体制の揺らぎが顕著になっている現代だからこそ、国として果たすべきグローバルな責務が問われているからである。SDGsはそうした国としての命題を喚起させるものであり、そこに国民を動員する仕組みとしてYEPのようなボランティア事業の意義は高まっている。こうした状況を考慮に入れると、本研究の仮説である「トップダウンのイニシアチブによるボランティアの拡大と浸透」は、これからさらに加速していくことが固く予想される。
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Research Products
(1 results)