2014 Fiscal Year Research-status Report
女性困窮者の就労による社会包摂及びそのプロセスに関する社会福祉援助方法論的研究
Project/Area Number |
26380763
|
Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
仁科 伸子 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (30707683)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | エンパワメント / 女性 / コミュニティオーガニゼーション / ヒスパニック / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、貧困によって社会的に阻害されている女性たちに対する就労支援が女性の主体形成とエンパワメントに如何に結びつき、社会的再包摂につながっているかを検証するものである。 シカゴ市ローガンスクエア地区において、コミュニティオーガニゼーションが実施しているペアレントメンター事業の概要とその参加経験者のうち、現在職業についている人に対するインタビュー調査を実施した。ペアレントメンター事業は、本地区で活動するコミュニティオーガニゼーションであるローガンスクエアネイバーフッドアソシエーション(以降 LSNA)が地域の小学校と共同して母親たちを授業のサポーターとして派遣する事業である。この地域は、ヒスパニック系の移民が多く居住する地域で、母親たちの中には英語が話せないものも見られる。このためLSNAは、成人のための英語教室を開催し、この事業への参加をサポートしている。
2014年12月には、ペアレントメンター事業の実施状況及び、以後の調査に向けて調整を実施した。ペアレントメンター事業は、すでに10年以上実施されており、学校と両親の関係、及び、子どもの学力の向上、参加者の地域への関係作り、参加者が再教育を受ける、参加者が大学へ行き、地域の学校のバイリンガル教員となって地域に貢献する、参加者が地域のコミュニティワーカーとなって活躍するなどの成果を挙げていることが明らかになった。
2015年3月には、ペアレントメンター事業の参加者のうち、現在職業についている者に対して、事業参加の経験と現在の職業に対する思いなどを半構造化インタビュー方式によって調査し、この結果主体形成過程の概要と要因などが抽出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、おおむね当初の計画通りのスケジュールで進行している。当初、現地でのインタビューに関しては、現地の研究者との共同研究を予定していたが、当該研究者の健康上の理由によって、筆者が一人でインタビュー調査を実施した。実際には現地研究者の参加なしに支障なく研究は進んでいる。 研究がおおむね順調に進んでいるのは、ローガンスクエアネイバーフッドアソシエーション(LSNA)の協力を得られたことが、最も大きな要因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒアリング調査の結果明らかになった事業の成功要因と成果について、今後ローガンスクエアネイバーフッドアソシエーションの協力を得て、量的調査を実施する予定である。当初計画では、ペアレントメンター事業参加者とそれ以外の住民アンケートを実施し比較研究を予定していたが、ペアレントメンターの年齢、国籍などにもばらつきがあり、比較対象を限定することが難しい。このため、平成27、28年度には、対象をペアレントメンターに絞って研究を継続する予定である。
|