2016 Fiscal Year Research-status Report
子ども虐待予防のための親と援助者への支援と児童家庭支援センターの役割に関する研究
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26380794
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
藤田 美枝子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (60637172)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 児童家庭支援センター / 家庭児童相談室 / コンサルテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度には、H市児童家庭支援センターによる家庭児童相談室へのサポート(コンサルテーション)という取り組みに対して「アンケート調査」と「聴き取り調査」を行った。2007年に政令指定都市となったH市では、7ヵ所の福祉事務所の家庭児童相談室が子どもと家庭への支援を担当している。そこで、児童家庭支援センターは、独自に各区の家庭児童相談室への定期的なコンサルテーションを2013年の開設当初から開始した。こうした活動の効果を明らかにすることは、児童家庭支援センターの市町村支援における役割を明確にできると考えた。 アンケート調査結果では、児童家庭支援センターのサポートへの評価を聞く11の質問項目の全てについて、80%以上の職員が「役立っている」と答え、高い評価であった。これらの評価は、児童家庭支援センターが家庭児童相談室のニーズに良く応えていることを表している。11項目の一つずつが、子ども虐待のケースに追われる家庭児童相談室の困難へ対応する内容であった。中でも、全員が「サポートを受けた」とあげた項目は、「ケースのリスクの判断についての助言」と「ケースの見立てについての助言」であり、これらは業務内容の困難点としてあげられていた中心的なものであった。 また、聴き取り調査からも、児童家庭支援センターのサポートのようなソーシャルワークの視点からのスーパーバイズが重要であることが明らかとなった。児童家庭支援センターの職員が、児童相談所の児童福祉司の経験者であることも役立っている要因の一つであると思われた。また、児童家庭支援センターのサポートを受けることで「またやってみようと元気になる」「これでいいのだと安心する」という内容が聴かれた。こうした児童家庭支援センターの実践は、最前線に立つ家庭児童相談室の職員に対して、安心感を与えエンパワメントすることへ繋がっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度には、全国の児童家庭支援センター104ヵ所を対象に次の2つの目的でアンケート調査を行った。目的の1つ目は、児童家庭支援センターが対応する相談ケースと要保護児童対策地域協議会の管理ケースとの関係について明らかにすること、2つ目は、子ども虐待の予防という側面から地域における児童家庭支援センターの支援の特徴を明らかにすること、であった。 結果では、児童家庭支援センターの相談ケースにおける要保護児童対策地域協議会の管理ケースの割合は4.0%と予想よりも低いことが明らかとなった。また、子ども虐待への対応において児童家庭支援センターならではの強みと困難点があることも明らかになった。 2016年度には、先の「研究実績の概要」で述べたように、H市の児童家庭支援センターによる家庭児童相談室へのサポート(コンサルテーション)という取り組みに対して「アンケート調査」と「聴き取り調査」を行った。 2017年度は、以上の調査を基にして、児童家庭支援センターの地域における役割をまとめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、研究のまとめの年度として、これまでの日本子ども家庭福祉学会や日本子ども虐待予防学会での発表、聖隷クリストファー大学紀要へ投稿した論文等を活かして、研究成果を全国の児童家庭支援センター等の現場へ報告・還元していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
調査結果のデータの整理と研究結果をまとめた論文執筆に時間を要したため、全国の児童家庭支援センターへ調査結果を送付できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
全国の児童家庭支援センターへ調査結果を送付し、研究報告を行うことに使用予定。
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Research Products
(4 results)